2004 Fiscal Year Annual Research Report
低エネルギー放射光による薄膜界面近傍の残留応力測定
Project/Area Number |
15560083
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Research Institution | Musashi Institute of Technology |
Principal Investigator |
秋田 貢一 武蔵工業大学, 工学部, 助教授 (10231820)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大谷 眞一 武蔵工業大学, 工学部, 教授 (80120864)
萩原 芳彦 武蔵工業大学, 工学部, 教授 (70061546)
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Keywords | 薄膜 / 残留応力 / シンクロトロン放射光 / X線応力測定 / 界面エネルギー |
Research Abstract |
薄膜は集積回路の配線やMicro Electro Mechanical Systems(MEMS)の配線・構造材に用いられており,その用途は今後ますます拡大すると予想される.一方で,薄膜内には成膜時に残留応力が発生し,剥離やストレスマイグレーションなど種々の現象に影響を与えることが知られている.薄膜成膜時の基板温度や基板の電位,基板の材質など,基板の状態や性質は,発生する残留応力に影響を及ぼすと考えられ,基板の影響も含めた検討が必要である.基板温度や基板電位の影響については多くの報告があるが,基板すなわち薄膜が積層する被成膜面の表面エネルギーが残留応力に及ぼす影響については,十分な検討はなされていない. 本研究では,基板上にCu薄膜を成膜した場合と,表面エネルギーが無機材料と比べ非常に小さなPolytetrafluoraethyren(PTFE)を基板上に成膜し,その上にCu薄膜を成膜した場合との,結晶子サイズの違いについて細束X線回折測定およびTransmission Electron Microscope(TEM)観察により検討した.そして,被成膜面の表面エネルギーと残留応力との関係,膜厚と残留応力との関係の説明を試みた.残留応力の測定には、低エネルギー放射光を用いて材料へのX線侵入深さを浅くし、基板が回折線に及ぼす影響を出来る限り小さくした。 その結果,以下のことが明らかとなった. (1)Cuとその被成膜面の表面エネルギーの違いにより,成膜時にCu粒子が付着した際の濡れ性が異なるため結晶子サイズが異なる.また,膜の成長にともない被成膜面の表面エネルギーの影響が減少し結晶子サイズが変化するため,膜厚方向に結晶子サイズの分布ができる。 (2)完全に膜状となる数百nm以上の膜厚においても,発生する残留応力は結晶子サイズに依存する.つまり,今回測定した残留応力の主要因は結晶の接触時に発生する真性応力である.
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Research Products
(1 results)