2003 Fiscal Year Annual Research Report
廃プラスチックを用いた固体窒化による鋼の機能性向上法の開発
Project/Area Number |
15560085
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
加賀谷 忠治 中部大学, 工学部, 教授 (90097668)
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Keywords | Surface Modification / Waste Plastics / Recycling / Solid Nitriding / Ferrous Materials / Fatigue Resistance / Wear Resistance |
Research Abstract |
廃プラスチックとして、使用済みのメラミン樹脂製品を粉砕した粉末(#120)を採り上げ、SUS304に対する窒化能について検討した。 はじめに、固体窒化処理温度565℃における廃メラミン粉末の定量分析を行った結果、廃メラミン粉末1g中に占める窒化・還元性元素の割合は、Nが34.8wt%,Hが5.15wt%およびCが35.8wt%であり、これらはバージン粉末の場合と比較して、HやCは若千少ないが、Nが著しく多いことが判明した。 そこで、SUS304板状試料の表面積あたりの廃メラミン粉末量を1.7g/cm^2、処理温度を565℃と一定とし、処理時間を1〜3hに変化させた場合の表面での窒化層の形成状態、断面における硬度変化およびNやCの挙動などについて解析した。エッチングを施したSUS304試料の顕微鏡観察によれば、試料の表面には窒素化合物層、その直下には窒素拡散層の形成が明確に認められ、両層は処理時間の増加につれて(化合物層:16〜22μm,拡散層:21〜27μm)増加することがわかった。また、X線回析やEPMA線分析結果から、表面ではCrNやFe_3Cが同定され、化合物層と拡散層中にはCとNの拡散・固溶が確かめられた。そして、表面硬度は化合物層の炭・窒化物に依存し、処理時間につれて1000〜1300HVの高硬度を呈し、無処理試料の硬度に比べて3〜4倍上昇した。 以上のように、廃メラミン樹脂がSUS304を容易に窒化するのは、水素系の発生ガス、HCNが不働体皮膜を還元するとともに、窒化性のガス、NH_3が発生するためであり、廃メラミン樹脂は固体窒化剤としてきわめて有用であることが明らかになった。
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Research Products
(1 results)