2005 Fiscal Year Annual Research Report
廃プラスチックを用いた固体窒化による鋼の機能性向上法の開発
Project/Area Number |
15560085
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
加賀谷 忠治 中部大学, 工学部, 教授 (90097668)
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Keywords | Surface Modification / Waste Plastic / Recycling / Solid Nitriding / Punch and Cutter / Wear Resistance / Life Extension |
Research Abstract |
廃プラスチック固体窒化技術の工業的有用性を明確にするために,冷間加工用工具を対象に実験的に検討した。 実験に用いた工具は通常の焼入れ・焼戻しを施した打抜き用プレスパンチ(SKH51)および切断用ロールカッター(YXR7)で,いずれも高速度工具鋼製である。窒化処理には工具の表面積あたり1g/cm^2の廃メラミン樹脂の破砕片を用いた。工具は通常の焼戻し温度よりも低い480℃にてメラミン破砕片とともに,窒化容器の中で2時間処理した後,空冷した。 このような窒化処理条件においては,表面では両者ともCrNやM_6Cの化合物が検出された。しかし,その厚さは約1μmに抑制された。一方,窒素の挙動では表面において濃化が顕著であるが,次第に減少して,約15μmの深さまで拡散が認められた。表面硬さではSKH51が1600HV, YXR7が1800HVに達し,また,拡散層でも1400HV以上の高硬度を呈した。 そこで,これらの工具を実際にプレスや切断機械に装着し,窒化処理の影響を評価した。その結果,窒化処理した工具の摩耗は通常の熱処理だけの場合と比較して著しく抑制され,寿命ではパンチが約2倍,ロールカッターが約3倍増加した。その度合はロールカッターにおいて顕著に認められた。これはCr元素の介在による硬度および耐摩耗性の向上に起因すると考えられる。 以上のことから,廃プラスチック固体窒化処理によれば,従来法に比較して工具寿命が大幅に延長されることが明らかになり,本方法はものづくりにおける廃棄物の有効利用,低コスト・高機能化に広く貢献できる。
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Research Products
(2 results)