2004 Fiscal Year Annual Research Report
先進複合材料の長期耐久性に及ぼす微少水分の影響と長期寿命の向上
Project/Area Number |
15560086
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Research Institution | DOSHISHA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
藤井 透 同志社大学, 工学部, 教授 (20156821)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大窪 和也 同志社大学, 工学部, 助教授 (60319465)
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Keywords | カーボン繊維強化複合材料 / 疲労 / 吸水 / 強度劣化 / 損傷 / エポキシ / 成形 / CFRP |
Research Abstract |
「通常の環境」下(室温,湿度60〜70%RH)であれば,先進複合材料(ACM)の静的破面に大規模な繊維の引き抜きは見られず,強度も安定している.しかし,長時間を要する高サイクル疲労では,静的強度よりかなり低い繰り返し応力下でも破壊し,その破面には繊維の露出が見出される.疲労破壊は繊維/母材界面のはく離の成長によりもたらされる.しかし,「なぜ疲労荷重下では上述のように通常環境下においても界面破壊が増すのか」についてこれまで疑問が呈されることは全くなかった.本研究は,疲労破壊を支配していると考えられる界面疲労はく離に焦点を当て,静的荷重下での破壊モードの変化の理由を明らかにした。本研究では,その理由として通常の実験室環境下でも存在する僅かな水分に注目した.湿度60%の標準試験状態でも,ACMは吸水,僅かな水分が繊維/樹脂界面に到着し,界面の接着強度を低下させると考えた.このことを立証するため,カーボン平織り布を強化材とし、エポキシ樹脂(EP)を母材とするCFRPを対象に、材料の製造から破壊に至るまでの環境(雰囲気)を変えて静的および疲労試験を行なった。環境条件は絶乾および通常の2種類、また、成形プロセスは以下の4ステップに分け、これらを組み合わせて静的および疲労試験を行なった. (1)樹脂(主剤/硬化剤)混合時,(2)(手積法)成形時,(3)保管時,(4)試験時 その結果、以下の結論を得た. 1.常環境下(相対湿度60%)でも,硬化前のEPは硬化後のEPより8倍も早く吸水する. 2.通常環境下でも,工程(1),(2)での吸水を抑止できれば疲労寿命は大幅に伸びる. 3.吸水抑止により,引張り強度も向上する. 4.成形工程が完全乾燥状態でなくとも,20%RH以下の環境下で吸水は抑制できる.
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Research Products
(4 results)