2003 Fiscal Year Annual Research Report
マシニングセンターを用いた気中放電加工による超硬合金の高速加工に関する研究
Project/Area Number |
15560108
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Research Institution | Tokyo Metropolitan College of Aeronautical Engineering |
Principal Investigator |
吉田 政弘 東京都立航空工業高等専門学校, 機械工学科, 助教授 (80220680)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
国枝 正典 東京農工大学, 工学部, 教授 (90178012)
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Keywords | 放電加工 / 気中放電加工 / マシニングセンター / 工具電極送り方法 / 加工速度 / 放電頻度 / 超硬合金 / 放電電流立上り |
Research Abstract |
まず,マシテングセンター(MC)で気中放電加工が行えるようした.それには,MCの加工テーブルの絶縁とMCに取付ける工具電極回転装置製作および加工電源が必要となる.加工テーブルの絶縁に関しては,工作物を取付ける精密マグネットチャックを高精度なセラミックスを介して加工テーブル上のバイスに取付けることで対応した.工具電極回転装置については,実験計画では極間隙を高速で制御するために超磁歪素子を組み込んだ装置を製作する予定であったが,まず,工具電極の回転のみを行う装置をMCに取付けて実験を行うこととした.これは,超磁歪のような特別な装置を用いなくとも,MCで安定した放電加工を行うことが出来れば実用化を考えた場合に望ましいからである.加工電源は,短いパルス幅で高いピーク電流値の放電波形が出力できるワイヤー放電加工用の電源をMCで使用できるように改造して用いた.また,工作物には,基礎実験的な要素が強いので,これまでに使用している焼入れ鋼(SKD11)を用いた.供給気体として酸素ガス,工具電極には外径1mm,内径0.4mmのCu-Wパイプ電極を用いた.以下に結果を述べる. (1) MCによる気中放電加工が可能である. (2)工具電極の回転のみで安定した加工が行える. (3)工具電極の送り方法を,Z軸方向に加工ギャップ以下の微小な切込みを与えて,X軸またはY軸方向にMCの特長を生かした高速送りをするよりは,工具電極をZ軸方向に送って加工を行い,工具電極の上昇および横方向の移動を高速で行った方が加工速度が遥かに速いことが分かった.これは,Z軸方向に送って加工を行った方が工具電極端面全体で加工を行うことになり,放電頻度がX軸およびY軸方向に送る場合よりも著しく多くなるためである.本送り方法により得られた加工速度は82mm^3/minである.これは,同じ径の工具電極あるいは工具を用いた従来の液中放電加工および切削加工をも凌駕する値である.このことから,極間隙の高速制御が必ずしも必要ではないことが明らかとなった. ○来年度の予定 工具電極の送り方法の工夫と電気加工条件の見直しにより加工速度の更なる向上を目指す.その上で,超硬合金への加工を試みる.超硬合金の場合,鋼工作物ほど酸化反応による加工速度の向上が期待できない.従って,電気加工条件の調査が加工速度を向上させる上で重要である.そこで,各種電気加工条件において単発放電を生じさせ,単発放電痕の性状を調べることで加工速度を向上させるための指針を定める。特に,アーク柱の電流密度に大きな影響を持つ放電電流の立上りが大きな鍵を握っていると考えており,放電電流の立上りを変化させた場合の単発放電痕の性状の調査を行う.その後,超硬合金の高速加工を試みる予定である.
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Research Products
(1 results)