2003 Fiscal Year Annual Research Report
輻射とアブレーションを伴うガリレオ探査衛星突入流れ場の統合数値解析
Project/Area Number |
15560129
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
澤田 恵介 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80226068)
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Keywords | アブレーション / 輻射 / ガリレオ探査衛星 / 水素 / 損耗量 / マルハバンド輻射モデル / 密結合解析 / 乱流遷移 |
Research Abstract |
ガリレオ探査衛星の木星大気圏突入環境の解析を行うために,木星大気圏上層大気に対するマルチバンド輻射モデルの構築を行った。木星大気上層部の主成分である水素は,衝撃層内部で解離し強い輻射を発する。このとき,束縛-束縛韓射の輻射プロファイルが電子密度の影響を受けて著しく拡がるために,吸収係数を定義する衝突断面積を温度と電子密度の二変数でテーブル化した。これにより,Line-by-line法で求めた衝撃層内の輻射熱流束を適切に再現した。 ガリレオの突入飛行の解析では,水素とヘリウムの混合気体である主流と,炭水素系化合物であるアブレーションガスの二種類の混合気体に対する方程式を解いた。各場所における化学種の組成は二種類の気体の混合比をパラメータに熱化学平衡を仮定して求めた。二種類の気体間の拡散はシュミット数を仮定した。アブレーションは表面熱流束をアブレーションの熱量が釣合う単純なモデルで与えた。突入軌道に沿って軌道点を7点選び,輻射流れ場とアブレーションを反復的に結合して首尾一貫した解を求めた。これにより,アブレータの損耗量を求めている。ガリレオ突入カプセルの後流側で,従来は過小評価されていた損耗量の飛行データの値を程よく再現した。これは後流域で輻射加熱量が大幅に増大したためである。輻射加熱量の大幅な増大はアブレーション生成ガスを固有に乱流と仮定すると生じた。これは,増大した乱流の効果で衝撃層内の高温気体が壁面近傍まで入り込み,輻射を吸収する炭素系化合物を解離させたためである。このようなメカニズムは従来全く想定されておらず,今回の解析で初めて明らかになった。なお,アブレーションガスを固有に乱流と仮定しても,対流加熱の増加は僅かにとどまつた。これはガリレオの突入飛行では空力加熱が非常に強く,アプレーションガスの流量が非常に大きく,壁面の近傍では対流遮蔽効果が維持されたためである。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Shinogo Matsuyama: "Parallel Computation of Fully-Coupled Hypersonic Radiating Flowfield Using Multi-Band Model"Journal of Thermophysics and Heat Transfer. 17・1. 21-28 (2003)
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[Publications] Shinogo Matsuyama: "Distributed-Memory Parallelization of Radiative Transfer Calculation in Hypersonic Flow"Parallel Computational Fluid Dynamics -- New Frontiers and Multi-Disciplinary Applications. 491-498 (2003)
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[Publications] Shinogo Matsuyama: "Trajectory-Based Heating Analysis of Galileo Probe Entry Flowfield with Radiation and Ablation"AIAA Paper 2003-3768. 1-10 (2003)