2003 Fiscal Year Annual Research Report
強安定成層流中の乱流生成と逆勾配熱拡散の空間構造の解明
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15560138
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
蒔田 秀治 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (40135413)
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Keywords | 内部重力波 / 強安定成層流 / 熱・運動量輸送 / 逆勾配熱拡散 / 砕波 / 乱流遷移 / 臨界層吸収 / 温度・速度同時計測 |
Research Abstract |
本研究の目的は、温度・速度の多点同時空間計測で得られた相関量から、内部重力波の発達過程、および、その崩壊時における乱流生成と逆勾配熱拡散を解明することである。温度成層風洞内に強安定成層流を形成し、7組のI型冷線と1組のX型熱線からなる多チャンネルプローブと冷熱二線式温度流速計で内部重力波の発達・崩壊過程を計測し、周波数および位相差解析によって以下の結論を得た。 1.非励起時の内部重力波の構成周波数を同一振幅で合成し、それを励起信号として微小温度擾乱(励起電力:強安定成層形成のための消費電力の約0.06%)を与えたとき、流れ場の初期的な平均構造を変形することなく、内部重力波の上限周波数であるBrunt-Vaisala周波数N_B以下において、鉛直方向速度信号wと温度信号θの位相差は-90°に近づき内部重力波の発達が促進されるとともに、その構造が安定化し、厳密な解析が可能となった。 2.内部重力波の発達過程において、混合層内の温度変動θのコヒーレンスはN_B以下で1に近づき、θのスペクトルのエネルギーレベルはN_B以下で卓越することから、混合層の半分程度(約20mm)の振幅を有する波動へと発達した。その発達過程における温度・速度変動間の相互干渉を通じて、高いポテンシャルエネルギーを持つ高調波の波動へと変形した。 3.内部重力波の崩壊過程では、高いポテンシャルエネルギーを有するスパイク状波形と、より乱雑化された高周波の波形が間欠的に混在する。このことは、スパイク状波形に蓄積されたポテンシャルエネルギーが非線形干渉により高周波成分へと輸送される過程で逆勾配熱拡散が発生することを示している。 4.逆勾配拡散は、波頭における内部重力波の局所的な砕波により部分的に秩序性を失いながら乱流へと遷移する過程で発生する。 5.内部重力波の崩壊過程において、内部重力波の臨界層吸収が捕らえられた可能性がある。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 蒔田秀治, 大庭勝久: "周期的温度擾乱により制御した内部重力波の遷移過程"日本機械学会論文集B編. 69・681. 1097-1104 (2003)
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[Publications] 大庭勝久, 蒔田秀治, 他2名: "内部重力波の崩壊と逆勾配熱拡散の発生"日本流体力学会誌「ながれ」別冊. 22. 276-277 (2003)
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[Publications] 大庭勝久, 蒔田秀治, 他1名: "強安定成層流中に発達した内部重力波の空間計測"航空宇宙技術研究所特別報告. SP. (2004)
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[Publications] 大庭勝久, 蒔田秀治, 他1名: "強安定成層流中における逆勾配熱拡散の発生"日本機械学会熱工学コンファレンス2003講演論文集. No.023-2. 49-50 (2003)
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[Publications] H.Makita, 他2名: "Experimental Analysis on Heat Transfer in a Strong Stably-Stratified Mixing Layer by Regulating Internal Gravity Waves"21^<st> Inter.Congress of Theoretical and Applied Mech.. (2004)