2003 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロ流路を流れる複雑流体の流動計測および流動に対する流路のサイズ効果
Project/Area Number |
15560141
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
保田 和則 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (80239756)
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Keywords | マイクロ流路 / 複雑流体 / サイズ効果 / 流体の内部構造 |
Research Abstract |
本研究では、マイクロ流路内を流れる複雑流体の定常流動をとりあげた。用いた複雑流体は、高分子水溶液である。この高分子水溶液は、長さが最大で1μm程度のひも状でフレキシブルな分子がニュートン流体である水に分散した流体である。高分子が互いに絡まりあうことで、流体の内部に構造を有している。このような流体は、小さくともミリスケール以上のマクロなサイズの流路内流動ではニュートン流体と異なる流動を示すことが広く知られている。 流路には、深さ30μmのマイクロ流路を用いた。この流路では、流路の幅方向が急激に狭くなる急縮小部を有している。上流部は幅が120μmで、下流部が幅30μmである。このように流路形状が急激に変化する部分で、複雑流体は一般に特徴的な流動を示す。また、マイクロ流路内流れと比較するために、流路形状が相似で約45倍のマクロサイズの流路も作成し、その流路内における流動も同様に調べた。 流動の評価は、急縮小部角部に発生する循環二次流れの流れ方向サイズを測定することによって行った。流量を変化させることにより、流体の弾性的性質を表現するワイセンベルグ数Weを変化させ、それぞれのWeにおける渦の大きさを計測した。渦の大きさは、流路幅で無次元化することで評価した。レイノルズ数は1よりも十分小さい。 その結果、小さなWeでは、マイクロ流路内で発生する渦はマクロ流路内の渦よりもたいへん小さいが、Weが大きくなるにつれてマクロ流路内の渦の大きさに近づいていった。また、ほぼ同じWeにおいて、流れが定常状態から非定常状態に遷移した。マクロ流路内の流れでは流路サイズにかかわらず、渦の大きさはWeで整理することができるとされているが、本研究で用いたような微小サイズの流路における実験結果から、Weで渦の大きさを整理することができないことが明らかになった。
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