2004 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロ流路を流れる複雑流体の流動計測および流動に対する流路のサイズ効果
Project/Area Number |
15560141
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
保田 和則 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (80239756)
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Keywords | マイクロ流路 / 流れの可視化 / 複雑流体 / 流体の内部構造 / 壁面滑り / 速度分布 |
Research Abstract |
本研究で使用した流路は、急縮小部を有する矩形断面のマイクロ流路内である。流路の材質は片面がPDMS、もう片面がガラスである。急縮小部を有する流路を選択した理由は、急激に変化する流れ場で複雑流体のもつ力学的特徴がよく現れるからである。試料流体は、分子量の異なる高分子の三種類の水溶液である。昨年度は、複雑流体である高分子溶液水溶液をマイクロ流路内に流し、流れ模様を観察した。その結果、分子量が大きくなるほど、急縮小部上流の角部に発生する循環二次流れの大きさ(代表寸法で無次元化してある)とその成長が、マイクロ流路とマクロスケールの流路とで大きく異なることがわかった。 本年度はその原因を詳しく調べるため、側壁面の影響のない流路の幅方向の中央部で、厚み方向断面内の速度分布を計測した。この場合、片方がPDMS面、もう片方がガラス面である。急縮小部から十分上流の平行平板問において、分子量のもっとも小さな高分子の水溶液では、ほぼ左右対称な速度分布が得られた。しかし、流速が大きくなると、やや対称性が崩れ始めた。分子量を大きくすると、小さな流速でも対称性が大きく崩れた。とくにPDMS面付近では、見かけ上、壁面滑りが起こっているように見えた。ガラス面でも、PDMS面よりは小さいものの、滑りが生じているように見えた。一般に、高分子水溶液の場合、固体壁面近傍では高分子の濃度の希薄な層ができると考えられている。そのため、その層の粘度が主流に比べて極端に低下することによって、みかけの滑りが生じるのではないかと考えられてきた。従来の研究では、その現象を、微細管を通過する流体の嚠喨と圧力損失の関係から推測してきたが、本研究ではそれを直接測定することによって明らかにすることができた。このようなマイクロ流路内の特異な速度分布が、循環二次流れの成長の特異性に影響していると考えられる。
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