2004 Fiscal Year Annual Research Report
分子の内部自由度と溶液の存在を孝慮したモデルによる脂質分子膜の形状変動相転移
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15560160
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Research Institution | Ibaraki National College of Technology |
Principal Investigator |
鯉渕 弘資 茨城工業高等専門学校, 機械システム工学科, 教授 (00178196)
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Keywords | 分子膜モデル / 2次相転移 / 1次相転移 / 表面張力 / 曲げ弾性 |
Research Abstract |
1.表面張力エネルギーと内部的曲率エネルギーに支配されるHelfrich(またはPolyakov-Kleinert)の膜モデルは,流動性がある場合(液膜モデル)でも無い場合(tethered膜モデル)でも,球面の場合には平滑相と乱雑相の間に1次相転移があることを示した。 2.表面張力に対応する面積エネルギーと内部的曲率エネルギーに支配されるNambu-Gotoの膜モデルは,流動性が無い場合で球面の位相を持つときには,平滑相と柱状相,乱雑相の3つの相を持つこと,更に,平滑相と柱状相の間に1次相転移があることを示した。柱状相の膜は直線状に細長く伸びるため,その1次相転移に伴い,モデルの持つ回転対称性が柱状相で自発的に破れていることが分かった。 3.表面張力エネルギーと曲げ剛性エネルギーに支配されているPolyakov-Kleinertの球面上の膜モデルは,流動性があってかつ分子が吸着平衡にある場合,膜上の2点を十分に長く引っ張ったとき,分配関数の積分の重み付けパラメータの値のある範囲において,平滑相と乱雑相の間を隔てる1次相転移をおこすこと,更に,引っ張る力としての弦張力が平滑相側で一定値になることを示した。このことは,弦張力がその相転移の秩序パラメータとなり得ることを意味している。 4.表面張力エネルギーと曲げ剛性エネルギーに支配されているPolyakov-Kleinertの球面上の膜モデルは,流動性が無い場合,平滑相と乱雑相の間で1次相転移を起こすことを示した。ただし,曲げ剛性エネルギーの離散化の仕方は,数値計算で標準的に用いられているものとは少し異なった独自のものを用いている。
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Research Products
(4 results)