2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15560165
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小原 拓 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (40211833)
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Keywords | 液体(流体)潤滑 / エネルギー伝搬 / 運動量伝搬 / 固液界面 / 分子間伝搬機構 / ナノフルイディクス |
Research Abstract |
摺動する平行な固体壁面間にナノメートルオーダーの厚さの液膜が存在する状態での熱流体現象を、大規模分子動力学シミュレーションにより解析した。この系では、液膜が固体壁からせん断を受けることにより粘性加熱を生じて温度を上昇させ、液膜から固体壁に熱伝導を生じるが、マクロなエネルギーの流れとしては、固体壁の運動エネルギーが液膜に流入して流れのエネルギーとなり、それが液膜内で熱エネルギーに変換されて再び固体壁に還流する現象である。これらのエネルギー変換における高非平衡状態の発現や、固液界面や液膜内における熱エネルギーや運動量の輸送特性と、それを支配する液体分子間・液体分子-固体分子間・固体分子間の伝搬機構について現象とメカニズムの詳細を明らかにすることが、本研究の目的である。今年度は、各種の分子スケール構造を表面にもつ固体壁と、単純液体・水・直鎖状分子からなる液膜の組み合わせからなる様々な系について、解析を行った。また、マクロな流れの影響を排除して固液界面における熱エネルギーの伝搬を解析するため、静止した固体壁間に温度差を与えて熱伝導を観測する分子動力学シミュレーションも各種パラメータについて実施した。 この解析により、大熱流束・大運動量流束が固液界面を通過するとき、界面における通過抵抗が無視できず、大きな温度・速度ジャンプが発生すること、この通過抵抗は界面を挟んだ固体分子・液体分子間のエネルギー伝搬特性により支配され、個々の分子間エネルギー伝搬が積み上がってマクロなエネルギー・運動量伝搬となる過程が、固体表面における格子スケールの分子配置構造(例えば、表面に露出している結晶面の違い)により大きな影響を受けること、この意味において運動量伝搬特性は当該方向の分子運動自由度における分子の熱振動のエネルギーの伝搬と同じメカニズムに支配されていること、などを明らかにして、本研究を完了した。
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Research Products
(4 results)