2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15560166
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Research Institution | AKITA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
菅原 征洋 秋田大学, 工学資源学部, 教授 (10042011)
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Keywords | 氷 / 融解 / 塩化カルシウム水溶液 / 濃度拡散 / 二重拡散対流 / サメ肌現象 |
Research Abstract |
塩化カルシウム水溶液中で水平氷板が上面から融解する場合に現れる融解面の凹凸挙動,すなわちサメ肌現象を前年度(平成15年度)に引き続いてPTV装置によって詳細に観察した結果次のような挙動が明らかになった. 容器底面に置かれた水平氷板に20wt%の塩化カルシウム水溶液を注いで融解実験を開始する.融解面に現れる濃度こう配の駆動力によって融解面の温度が降下しながら氷板は融解する.融解面に現れる濃度こう配に起因して融解面近傍の密度に分布が生じて浮力が生じ力学的に不安定になる.融解面近傍の濃度拡散層厚さが次第に厚くなっていくと益々不安定度が増して,この拡散層厚さがある限界(1mm以下)に達すると突然融解面近傍に濃度の薄い融解液が噴出(上昇流)するような形で融解面全域に無数に現れる.この融解水の噴出間の距離はせいぜい1mm程度で大変小さいのが特徴である.この噴出によって,融解面に濃度の濃い下降流が現れて,融解面の融解速度が局所的に異なるため融解面に直径1mm以下の凹凸すなわちサメ肌現象が現れる.融解面の凹部に濃度の濃い溶液が遅い速度で流下し,凸部付近では濃度の薄い融解液が早い速度で上昇する.凹凸の位置は基本的には固定されているが,小さな凹部は隣接する大きな凹部に侵食されて消滅し,融解の進行につれて安定したサメ肌現象が持続する.融解面に現れる直系1mm程度の小さな渦は前記の噴出による2次的な流れであることも初めて判明した. 二次元問題として,氷板の融解挙動が平滑な融解面を持つと仮定して数値解析的にも検討したが,得られた液層全域の温度・濃度複合対流は可視化観察結果と定性的に一致したが,サメ肌現象による融解促進効果は予測できず課題を残した.前記の融解面の凹凸を解析に組み込めば.さらに実際の融解挙動に近い数値的予測が可能であると考える.
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