Research Abstract |
固体高分子燃料電池(PEFC)として,改質器を用いない直接発電型PEFCを対象とし,燃料として無害な液体で,取り扱い易いエタノールに着目した.この燃料の場合,発電出力が小さいので,出力向上を図るための研究を行った.独自の膜電極接合体(MEA)の製法であるCast法により製作したMEAを用いてPEFCを自作し,エタノール水溶液を直接供給して発電性能を測定した結果,このMEA製法は,他の製法の場合より,2倍程度,発電出力を向上できた.さらに,拡散層としてニッケルの発泡金属を用いると,補機類を使用しない自立型PEFCでも,出力を1.8倍程度,向上できた.また,アノードにおける生成物を分析し,発電特性との関係を調べた. PEFCのセパレータ内の燃料・空気流路は,一般的に屈曲を伴うマイクロチャンネルであり,PEFCの性能向上には,流路内の物質流れの解明が重要である.そこで,非構造格子を用いた有限要素法による数値解析とラインLDVを用いた流動計測により,流速分布を調べた結果,屈曲部付近に剥離領域や淀み領域が存在し,流れが阻害されることが判った. 次に,水素を燃料とするPEFCを対象に,発電中のPEFC内部における物質移動と電気化学反応の解析を行うため,独自のGTT法に基づいてPEFCの3次元数値解析モデルを構築した.この燃料の場合,高いエネルギー密度が得られるが,電動車両の電源としてはパワー密度が低いので,蓄電装置とのハイブリッドシステム化が必要であり,その制御方法を検討した.自立型PEFCと電気二重層キャパシタを用いた電動軽車両用ハイブリッドシステムを構築し,走行状況に応じてモータへの電力供給比率を容易に制御できる時分割方式を考案した.モータへの電力供給方式として,シリーズ方式とパラレル方式の実験を行い,いずれの方式でも容易にパワー制御を行えることを確かめた.PEFCの出力が走行負荷に勝る場合は,パラレル方式の方が優れていることが判った.
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