2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15560194
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
永井 健一 群馬大学, 工学部, 教授 (00110403)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 真一 群馬大学, 工学部, 助手 (60344925)
山口 誉夫 群馬大学, 工学部, 助教授 (90323328)
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Keywords | カオス / 生体計測 / 非線形時系列解析 / 介護 / 音・振動 / 柔軟構造物 |
Research Abstract |
高齢化社会を迎え,寝たきりの高齢者が増えつつある.それより,寝たきり状態での床ずれが深刻な問題となっている.床ずれでは骨突出部に加わる圧力により、その部分の血流が悪くなる.その結果、身体部の壊死に至る.床ずれの防止には,身体への圧力を分散させる必要がある.これには人為的介護が必要となるが,高齢者の増加と介護への費用を考えると早急に解決すべき問題である.そこで,機械振動の利用による解決が考えられる. 本研究ではカオス振動の特性を生かした高周波刺激により,床ずれ発症部の血流を正常にすることを最終的な目的とし,周期的な圧迫力を受ける生体の信号分析を行った. 加振アクチュエータを内蔵したベッドを作成し,横臥した人体の腰部に変動圧迫力を与える実験を行った.圧迫力を与える加振部は,リアルタイムで圧迫力計測が可能な構造とした.一定の圧迫振幅の下で人体に定常周期圧迫力を与え,筋電図ならびに心電図の測定を行った.迫力の加振振動数を心拍数近傍で変化させた際の応答への影響を,時系列波形,周波数分析結果ならびに最大リアプノフ指数により分析し,主に以下の結果を得た. 筋電図の時系列波形には,心拍数よりある程度高い振動数の圧迫力を与えた際に影響が現れる.一方,心電図への変動圧迫力の影響は小さい.周期変動圧迫力の振動数が高くなるに従い,心拍数が上昇する傾向がみられる.筋電の電位変化の時系列波形より最大リプノフ指数を求めた結果,変動圧迫力を与えた後の最大リアプノフ指数は,圧迫前にくらべて上昇する傾向が見られた. このように,心拍数よりも高い振動数の圧迫に対して,生体の信号には変化が現れることが明らかとなった.この生体信号の変化と血流との関係を明らかにするとともに,広い帯域の高周波数成分を含むカオス状波形による圧迫を行うことで,振動を利用した床ずれ防止ベッドの開発が期待される.
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