2005 Fiscal Year Annual Research Report
ユニバーサルデザインに対する情報科学からのアプローチ
Project/Area Number |
15560219
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川上 浩司 京都大学, 情報学研究科, 助教授 (90214600)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須藤 秀紹 秋田公立美術工芸短期大学, 産業デザイン学科, 講師 (90352525)
半田 久志 岡山大学, 工学部, 助手 (60304333)
塩瀬 隆之 京都大学, 情報学研究科, 助手 (90332759)
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Keywords | ユニバーサルデザイン / 対話型人工物 / 緩やかな制約 / アフォーダンス / 分節化 |
Research Abstract |
本研究は、現状でのユニバーサルデザインの方法論が本来のR.Maceが提唱した基本理念と乖離している事に注目して、定量的物理特性(サイズ・形状・色・材料の物性など)の変更という対処療法的な方法ではなく、基本理念をもう一段ブレークダウンしたレベルでの設計指針を策定することにある。研究遂行の基軸として採用したのは、従来からの我々の研究成果を踏まえて導出した仮説、すなわち「特定の唯一最適な操作系列だけでなく様々な操作を許す『解釈の多様性』を残しながらも、緩やかな拘束によって操作の選択肢を使用者にアフォードし、操作とそれに対するアフォーダンスの変化があたかも『対話』を成立させる人工物が、ユニバーサルデザインされた物の一つの在り方である」というものである。 最終年度の平成17年度には、16年度までに得られた知見を実際の設計に適用する活動を主に実施した。比較的大型の建造物として無人自転車置き場ゲートを京都市内のベンチャー企業と共同開発し、小型の建造物としては大阪府内の病院と病棟内トイレの設計を実施した。また、物理的な物以外の対象としてウェブページのデザインを試み、秋田市内の美術工芸大学における卒業制作作品の閲覧を対象として評価実験を実施した。さらに、米国発のユニバーサルデザインが方法論にブレークダウンされると当初の基本理念と乖離するのに対して、欧州発のインクルーシブデザインは平均的身体能力を持たない人をテスターとしてではなくデザイナーとして取り込む方法論を採用していることに着目して、第一人者である英国Royal College of ArtのJullia Cassim氏を招いてワークショップを開催した。これは京都新聞に取り上げられた。 以上の適用事例を通して精緻化された知見、数理モデルをたてるための理論、ならびに適用結果の一部は、次ページに掲載するように、いくつかの書籍や学術雑誌などで報告している。
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Research Products
(8 results)