2003 Fiscal Year Annual Research Report
極低損失ナノスケール多層磁性材の開発と高効率モータへの応用
Project/Area Number |
15560269
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
奥野 光 筑波大学, 機能工学系, 助教授 (10160813)
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Keywords | 磁性薄膜 / ナノ / 多層 / 鉄損 / 渦電流損失 / 磁区 / 磁壁 |
Research Abstract |
対向ターゲット式高周波マグネトロンスパッタ装置を用いて、ナノスケール膜厚の多層磁性薄膜磁心を作製した。ターゲット面積組成は、Co81.4、Zr4.7、Mo13.9、薄膜一層当たりの膜厚は、CoZrMoが125nm、SiO_2が50nmで40周期とした。損失評価装置により、1次側印力電流と2次側誘起電圧の時系列データを用いてB-H曲線を描きその面積から、鉄損失、渦電流損失を測定し評価した。また、光学磁区観察装置で磁区パターンや磁壁数を調べた。さらに磁壁の運動に重要な関連を持つ、磁壁の微細構造に関する情報を得るため、磁気力顕微鏡装置により磁壁の構造解析を行った。印加磁界一定の条件での鉄損は、200kHz付近でピークを示し磁壁共鳴が現れた。印加磁界の振幅増大に伴って、共鳴周波数が高くなる現象を発見した。これは従来の線形理論では説明できず、非線形性を考慮して以前に提案した理論による結果に対応した現象であると考えられる。最大磁束密度一定での鉄損は、0.1T、1MHzで80J/m^3となった。ヒステリシス損失は、最大磁束密度の1.57乗に比例し、一般の金属材料のスタインメッツ定数の値1.6との差異は認められなかった。渦電流損失は周波数にほぼ比例し、最大磁束密度の2乗に比例した。磁区パターンは、光学磁区観察装置では数mm幅の楔形状が見られ、磁気力顕微鏡装置で拡大した画像では、約2μm幅の縞状磁区構造が見られた。磁壁移動による磁化過程では、磁区幅の狭いパターンのほうが磁壁の移動距離と速度を小さくして、鉄損を減少できると考えられるので、極低損失磁性体の開発のために、鉄損と磁区パターンとの相関、ならびに磁区パターンの制御法についてさらに研究を進める予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Okuno.H., Waizumi.Y., Nakazato.R., T.Morimatsu: "Peak collapse and shift of energy loss in CoZrMo/SiO_2 multi-layered thin film core"J.Mag.Mag.Mater.. (2004)
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[Publications] Nagatsuka.K., H.Okuno: "Delayed Feedback Control of Magnetic Domain-Wall Motion"Proceedings of SICE Annual Conference 2003 in Fukui. 170-175 (2003)