2005 Fiscal Year Annual Research Report
極低損失ナノスケール多層磁性材の開発と高効率モータへの応用
Project/Area Number |
15560269
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
奥野 光 筑波大学, 大学院・システム情報工学研究科, 助教授 (10160813)
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Keywords | 磁性薄膜 / ナノ / 多層 / 鉄損 / 渦電流損失 / 磁区 / 磁壁 |
Research Abstract |
測定した磁気損失データとモデル計算結果に基づいて、低損失磁心を設計した。磁心材料として125nm僧CoZrMoと50nm層SiO_2を用い、磁心形状として各々40層で外形40mmΦ、内径10mmΦとすることとした。対向タゲット式高周波マグネトロンスパッタ装置により、上記設計値の低損失のナノスケール膜厚多層磁性薄膜磁心を作製した。作製した磁心を用いて、磁壁を外部磁界により駆動し、磁壁運動を調べた。周波数が低い領域では、磁区観察装置を用いて実際の磁壁運動の位置と速度を観察した。大振幅励磁では、磁区は磁心外円周部からニュークリエーションにより発生し、楔形に成長して内円周部に到達する。磁心内円周部から発生したものは、その逆の動きをする。上記磁化過程により、残留磁化状態では、多数の180゜磁壁が磁心内に存在する。小振幅励磁では、それらの磁壁が微小振動する。高周波数領域では、磁壁の運動をリアルタイムで観察することは困難なので、磁壁運動の振幅を計測し、運動状態を推測した。試料中の磁壁運動は、低周波数から高周波数にむかって100kHz付近で磁気損失の共鳴ピークをとること、基本周波数以外に連続パワースペクトルをもつ極めて複雑な複合運動状態となる事がわかった。この不規則な運動成分を除去するため、遅延フィードバック制御法、予測OGY制御法を開発し、規則的な磁壁運動へと制御し損失を低減した。ナノスケール膜厚多層磁性薄膜磁心を用いて、力学系と電磁系のエネルギー変換機器を作製した。共鳴周波数領域を避けることにより、1kHz励磁で約90パーセント、10kHz励磁で約70パーセントの変換効率が得られた。変換周波数の増大による機器の体積および重量の低減曲線と、磁性体損失の増化曲線のクロスポイントから、経済性を考慮した内燃機関との比較検討を行った。
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Research Products
(2 results)