Research Abstract |
平成17年度は年度計画に従い,二三の課題を残して目標の実績をほぼ達成し,終了した。 平成15-16年度においては,ヘテロアモルファス磁性薄膜材料の試作と1次試作超高周波磁気デバイスの磁性膜特性向について開発研究を行った。膜の高周波透磁率を6-10GHzまで測定評価した結果,μr'/μr"が2GHz以上で10を超えるような磁気特性を持つ膜が試作可能であることを明らかにした。 最終年度(平成17年度)は,2次試作超高周波磁気デバイス(伝送線路デバイス:業績3,4,5)の磁性膜特性向上のための問題点を明らかにし,耐熱性の向上,磁気共鳴周波数の向上について検討した。その結果,耐熱性の向上についてはヘテロアモルファス構造から結晶化させたナノ構造が有効であることを見出し(業績2),磁気共鳴周波数の向上については,形状異方性を利用したスリットパターン法およびB元素添加調整(業績1)が有効であることを確認した。 二次試作では,携帯電話用のコプレーナ伝送線路を試作し,磁性膜の多層化,熱履歴特性の調整のほか,導体ライン形状・厚みの補正などを行い,デバイス設計ならびに作製プロセスなどにもフィードバックした結果,インピーダンス整合が円滑に行われる0.5deB(1-1.5GHzの周波数)以下の低挿入損失を得ることができ,実用レベルにまで二次試作デバイスの特性および磁性膜特性の向上を図ることに成功した。予定課題のフィールド試験については,現在なお検討途中である. 以上のように,二三の課題を残してはいるが,何れの業績(1-5)においても他者の記録を世界的に上回る特性が得られており,これらの結果をさらに実用,量産のレベルまでに高めるための材料開発およびそれらの基礎となる物性研究を,申請当初の目的と計画のとおりほぼ完了した。
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