2003 Fiscal Year Annual Research Report
微小冷陰極を用いた次世代超高周波電子ビームデバイスに関する基礎的研究
Project/Area Number |
15560288
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 信之 東北大学, 電気通信研究所, 助手 (10178759)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三村 秀典 静岡大学, 電子工学研究所, 教授 (90144055)
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Keywords | ペニオトロン / ミリ波 / サブミリ波 / 微小電子源 |
Research Abstract |
本研究課題は次世代ワイヤレス通信及び各種計測目的に用いるミリ波からサブミリ波帯における広帯域、高効率の超小型高周波電子ビームデバイスの開発を目的とする。本研究者らは以前から、高効率性、高周波数化の容易さなどの特長を有するサイクロトロン高速波管の一種であるペニオトロンと呼ばれる電子管の優れた特性を理論的、実験的に実証してきた。本研究ではこれまでに得られた研究成果を踏まえ、微小電子源によって構成されたカソードからの電子ビームを用いたコンパクトかつ高性能な電磁波源の実現を目指し、そのために必要な電子ビーム源の開発を行う。 研究方法としては、カーボンナノチューブ等による微小陰極を用いてエミッタを形成し、その特性を評価することによって上記の目的への適用可能性を検証する。具体的には、本年度においては、まずペニオトロン動作に必要な回転電子ビームを生成するための電子銃に対して、動作実験に要求される仕様を検討し、エミッタの寸法形状を決定した。次いで設計寸法にしたがってエミッタを試作し、その放射特性の測定を行った。試作したエミッタの寸法形状は円盤状の平面基板上に直径13mm幅0.5mmのリング状にカーボンナノチューブを成長させたものである。これに真空中において蛍光板と対置し、13kVの電圧を印加したところ。50-100nAの放射電流が観測された。しかし、放射電子の空間分布は一様性に欠けており、リング状の電子ビームを形成するにはいたらなかった。現在改良型のエミッタの作成と実験が進行中である。
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