Research Abstract |
1.高機能往復流発生装置の製作 往復流型タービンの特性評価用に製作した往復流発生装置は,速い往復流を安定に発生出来ていないなどの問題があった.この問題を解決するために,ピストン部分の構造を見直し,従来3本あったボールねじを1本に変更し,正確かつ安定に往復流を発生させることが可能な往復流発生装置に改良した. 2.往復流型タービンの角速度および角加速度の高精度計測法の確立 本研究開発において,往復流型タービンの角速度,角加速度およびタービン特性曲線から非定常状態の流量を求める方法を提案している.このことから,角速度,角加速度を正確に求める必要がある.特に角加速度は角速度の差分として求めていることから,角速度を特に高精度に求めておく必要がある.角速度の計測については,従来,タービンブレードの端面にレーザー光を照射し,その反射光を検出する方法を採っていたが,角速度の高精度化をめざして全面的に回転数の計測方法を変更した.ローター側面の直径11.4mmの位置に直径0.25mmの穴を80個設け,この穴を透過するレーザー光を測定する方式に変更して,回転数の測定精度を大幅に向上させた. 3.各種往復流型タービンブレードの評価 Wellsタービンにおいてタービン特性曲線にヒステリシスが現れた.このことから,タービンを衝動型タービンに替えて,タービンの各種特性を取得した.特性評価に使用した衝動型タービンの仕様を次に示す.翼弦長:3.75mm,翼枚数:16枚,ハブ比:0.6,取り付け角:0°である.改良された往復流発生装置で,周期的往復流(周期4秒)を発生させて,タービンの起動特性を求めた.最大流量を231ml/sから429ml/sの測定条件に対して,全ての条件において4周期で静止状態から安定状態に到達し,短時間でタービンが起動することが明らかになった.また,安定状態において角速度は気流パターンに同期していることが分かった.さらに,ウエルズタービンを利用した場合に比べ,回転速度が極めて高いことが分かった.また,タービンの角速度,角加速度を求めることで,非定常流の流量をもとめる事が出来るか否か評価した.前述の起動特性から無次元角加速度および流量係数を求め両者の関係を求める図(タービン特性曲線)を作成した.その結果,Wellsタービンでみられたヒステリシスが衝動型タービンでも現れた.しかし,タービン特性は無次元角加速度は流量係数とともに増加しており,既知の相関関係から非定常流の流量を一義的に得られる可能性を示していることを明らかにした.
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