Research Abstract |
本課題では,(A)拘束システムの線形制御性能の調整を可能にする制御法,(B)外乱を考慮したモデル予測制御則の構成法,(C)モデル予測制御問題の低次元化法,の開発を試みている. 本年度は,昨年度導いた(A)に関する結果を踏まえ,(B),(C)に関して研究を展開した.それぞれの成果は,つぎのようにまとめられる. (B)本研究テーマで扱う拘束システム(ハイブリッドシステム)が,群集挙動のモデル化に適用できる点に着目し,群集挙動のモデル化に関する考察を行なった.群集挙動のモデルは,建築物内の歩行者の行動予測,安全性の評価に用いられるものであり,様々なモデル化の手法が検討されている.本テーマでは,群集を歩行者相互に働く影響力,歩行行動のダイナミクスから構成する方法を検討し,ハイブリッドシステムの接近法から,群集挙動を表わすモデルを開発した.そして,1)避難行動,対向流動などの群集挙動が再現できること,2)計算量は群集の人数に比例し良好な性質をもつこと,が示された. (C)有限時間区間線形系の入出力波形が,広義の特異値分解により,特徴付けられることを明らかにした.そして,これらの結果を制約を有する線形系のLQ制御問題に適用し,モデル予測制御に現れる最適化計算を低次元化する方法を導いた.また,線形系の特異値分解の結果から,制御系の応答を調節する補償入力の設計法を導いた. また,(A)の基礎となったH∞,H2予見制御法の結果を発展させることにより,制御入力の遅れ,目標値の予見情報を統一的に扱う制御法が導かれた.
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