Research Abstract |
昨年度の平面ひずみ状態の定ひずみ三角形要素の標準的な定式化をそのまま確率有限要素法に適用し,最適設計における感度解析に相当する解析を試行した.確率有限要素法の手法に適用させるには,剛性行列の設計変数についての微係数を求める必要があるが,森・田中理論の場合は,特に介在物の体積比率についての微分は比較的容易であるため,特にMathematicaのようなツールを使わずに定式化できた.また,介在物の向きについての変動についても,平面問題であったことから,これも比較的容易に定式化できることが分かった. 得られた剛性方程式を用い,補修・補強を念頭に置いて,岩崖をロックボルトで補強する際の,ボルト密度を介在物の体積比率と解釈し,その最適な配置を試みた.今年度は残念ながら最適化のルーチンを組み込むことに成功しなかったため,手動で体積比率を可能な範囲に変動させることによって,オーバーハング周辺に多くのボルトが必要という妥当な結果を得た. また,介在物の向きを変動させたときのポテンシャルエネルギを算定し,例えば単純梁の繊維補強の場合に,繊維の向きは橋軸方向に向けた場合がもっとも剛性を高めるという,当たり前の結果を得,手法に間違いが無いことを確認した.ただ,介在物の形状比を変動させる場合には,別途ツールを用いて微係数を求めなければならなかったが,形状比の変化に対する,構造応答の確率変動を比較的容易に定量化できている. さらに,要素の3次元化を試み,既存の最適化ツールを組み込むことによって構造部材の補強繊維の分布や比率の最適化問題を解析し,妥当な結果を得ているが,まだ問題が弾性に限定されているため,実用的な立場からはまだ不満が残っている.
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