2004 Fiscal Year Annual Research Report
コンクリート中の微量重金属の化学結合状態の解析と廃棄物の有効利用
Project/Area Number |
15560396
|
Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
内川 浩 金沢工業大学, 環境・建築学部, 教授 (40308573)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
露本 伊佐男 金沢工業大学, 環境・建築学部, 助教授 (60282571)
|
Keywords | セメント / X線吸収微細構造 / クロム / 亜鉛 / 状態分析 / スペシエーション |
Research Abstract |
セメントは粘土化合物、石灰石などを焼成して合成されるが、焼成時の炉材や原料とする鉱さいから有害な重金属が混入することが知られている。粘土化合物の代替品として都市ごみ焼却灰、下水汚泥焼却灰を使用する取り組みが始まったことから、重金属がセメントに混入する懸念がさらに高まっている。セメントの使用時に重金属が溶出するリスクを評価するためには、セメントに元から含まれる重金属が使用時にどのような化学形態変化をとっているかを明らかにする必要がある。 本研究では標準ボルトランドセメントに原料由来で205.1ppm含まれる亜鉛に着目し、各材齢において広範囲X線吸収微細構造(EXAFS)を測定した。K吸収端を観察し、亜鉛原子の配位数と原子間距離を数値解析したところ、亜鉛の第一近接原子の原子間距離は材齢に関わらず0.20nmのまま変化せず、配位数も4で一定していた。これは亜鉛と酸素と原子間距離と配位数に対応する。しかし第二近接原子については原子間距離が0.32nmで一定している一方で、配位数が15.4(未水和)から7.5(材齢294日)と減少した。これは亜鉛原子と亜鉛原子の距離と配位数に対応する。このことは未水和状態では酸素が亜鉛に4配位した基本構造が酸素原子を共有する形でつながり、微小な酸化亜鉛の結晶構造を形成する状態で存在しているが、水和が進むにつれてその結晶構造が崩壊し、亜鉛酸イオンとなって溶出していることを示唆している。溶出した亜鉛酸イオンはセメント中のカルシウムシリケート水和物に吸着していると推定される。
|
Research Products
(6 results)