Research Abstract |
構造物の動的耐震信頼性設計法確立のための基礎資料を得ることを目標とし,本年度は構造特性の変動が動的応答に与える影響,ゴム製緩衝材の衝撃力緩和効果を中心に検討した. 鋼製橋脚を解析対象とし,1自由度の質点系モデルとして感度解析を行った結果,構造特性として降伏変位,降伏荷重,初期剛性,質量,減衰の感度が高いことを明らかにした.また,これらの構造特性として現実的なばらつきを考慮した変動解析によると,道路橋示方書に示されるレベル2タイプIおよびタイプII相当の入力地震波に対して,最大応答変位は10〜14%程度,最大応答荷重は4〜8%程度変動すること,また,これらの変動は構造物の固有周期には大きく依存しないことを確認した.変動解析においては,点推定法を用いることにより簡便に評価することができた. つぎに,落橋防止構造や桁間連結装置等を含めた橋梁システム全体系を解析対象とするため,落橋防止構造に用いられる緩衝材ゴムの力学特性を把握するため,桁間衝突実験を行った.本実験により,ゴム製緩衝材の形状率が大きいほど衝撃力緩和効果は高く,逆に形状率がある値以下になると急激に衝撃力は増大することを示した.また,衝撃力は衝突速度に大きく依存するため,桁間衝突時の衝突速度の設定が重要であることを考察した. さらに,動的解析に必要となる構造特性データの蓄積を目指し,部材強度特性や,液状化時の地盤強度特性に関しても検討を行った.また,2次元の橋梁システムを解析対象として減衰特性に関して検討し,レーリー減衰やひずみ比例型減衰等の設定手法(モード次数や初期剛性比例型と瞬間剛性比例型の差異,等)が最大応答に与える影響を定性的に把握した.
|