2003 Fiscal Year Annual Research Report
抽水植物群落の再生長戦略を考慮した長期動態解析による適切な管理方法分析
Project/Area Number |
15560440
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
田中 規夫 埼玉大学, 工学部, 助教授 (80323377)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湯谷 賢太郎 埼玉大学, 工学部, 助手 (00344953)
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Keywords | 抽水植物 / ヒメガマ / マコモ / 地下茎 / 二次シュート / 再生長 |
Research Abstract |
ヒメガマやヨシに対する刈り取り特性に関する研究が近年精力的に行われているものの,刈り取り時期による相違,刈り取り実験の再現性,種による戦略の相違,という点について不明の点が多い.そこで本研究では,ヒメガマとマコモの刈り取りに対する戦略をヒメガマの期別刈り取り実験により把握したうえで,マコモの刈り取り後の戦略をヒメガマと比較することで評価した.刈り取り方法は水面上での刈り取りとし,現地実験と生長モデル解析により評価した.本研究により得られた主な結果を以下のとおりである. (1)ヒメガマ,マコモの刈り取り部に暗幕をかけ,地下茎から地上部への純輸送量を把握した.純輸送量は,ヒメガマは,5月刈り取り(約1g/shoot),7月刈り取り(約0.5g/shoot)とも同時期の有光合成区の50%以下であった.マコモは,7月刈り取り(約0.4g/shoot)でヒメガマとほぼ同じ値であった. (2)ヒメガマの7月刈り取りにおける再生長した葉の総延長から刈り取り後の再生長従属期間が15〜20日程度であることがわかった.これは2002年の地上部の観測より求めた推計値とほぼ一致した.マコモはヒメガマとは違い刈り取り後40日を経過しても無光合成区の生長が止まらず,再生長従属期間はヒメガマより長いことが分かった. (3)ヒメガマの夏期における刈り取りにおいて,地下部の総生産量はどの時期においても刈り取りを行わない場合より減少した.刈り取り直後の地下部からの輸送量は極めて少なく,この減少は刈り取り時における地下部バイオマスと刈り取り後の地上部再生長バイオマスと大きく関連していた. (4)マコモは刈り取り後,再生長をするだけでなく,二次シュートを多数生産することによって,占有度を高めていくというヒメガマとは異なる刈り取りに対する戦略を有していることが分かった.
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Research Products
(1 results)
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[Publications] 渡辺哲広, 田中規夫, 武村武, 八木澤順治, 浅枝隆: "抽水植物ヒメガマ・マコモの地上部刈り取りに対する地下部動態と戦略"水工学論文集. 48. 1603-1608 (2004)