2003 Fiscal Year Annual Research Report
全国県間産業連関表をデータベースとしたSCGEモデルの応用可能性に関する研究
Project/Area Number |
15560458
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
宮城 俊彦 岐阜大学, 地域科学部, 教授 (20092968)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 良文 富士常葉大学, 環境防災学部, 講師 (20329577)
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Keywords | 地域間産業連関分析 / SAM / CGE分析 / バランシングファクター法 / 地域間交易係数 / SCGE分析 / 経済一般均衡理論 / 地域政策効果分析 |
Research Abstract |
本年度は、主に地域間産業連関表を作成するためのデータ・ベース構築とCGE標準モデルのコンピュータプログラム作成を行った。これら2つの作業の成果は以下のようである。 1)SCGEモデルのための基礎データベース作成 平成7年度、47都道府県地域内産業連関表を45部門表として整理統合し、移出・輸出、移入・輸入が分離されていない都道府県については、9地域間産業連関表をもとにこれを分離した。基礎データのもうひとつの柱である物流センサスについても産業連関表との産業分類を一致させるための作業が必要になる。これらの基本データに加え、サービス部門の地域間交易係数を推定するため、国勢調査の居住地-従業地別OD、NTT通信トラフィックデータ、電力会社ブロック別生産額データ、旅客全流動調査等を収集し、データベースを作成した。これらを元に地域間交易係数の初期値を推定し、その後、47都道府県の地域内IO表に整合するように調整計算を行う。調整計算には、本調査で開発したバランシングファクター法を用いた。対象とする行列は400万以上の要素をもつのでEXCELでは計算が行えない。調整計算およびその後の逆行列計算ではGAUSSソフトウエアを用いた。その後、アウトプットチェックを行っていえるが、地域間交易量そのものについては、比較するデータがないので、元の47都道府県の地域内産業連関表とのズレで精度を検証している。その結果、ほとんどが0.5%以内に収束しているが、一部では1%以上の誤差がある産業が存在した。誤差の大きいところは、地域的ものではなく産業のタイプであり、したがって、物流センサスに起因する誤差と判断できた。本調査で開発した地域間交易係数推定法は元の地域内IO表をまったく修正せずに調整を図っていく方法であり、調査方法が異なるデータベースを統合するため、それによる誤差の発生は当然予期されたことである。それがどの程度かが問題になったのであるが、比較的小さい水準に収まった。求められた地域間産業連関表をもとにいくつかの基礎的な分析を行っているが、従来では得られなかった興味ある結果を得ている。 2)CGEモデル作成 本年度は、SCGEモデルの基礎となるCGEモデルのプログラミングを主体に行った。より汎用性のあるモデルを構築するため、以前に作成したFORTRANプログラムではなくGAMSプログラムで作成を行った。作成したプログラムでは地域間交易を扱うことはできないが、これを拡張する作業は次年度のテーマとする。ただし、CGEではSAMデータを基本にしており、これには世帯特性に関する情報、税制などの情報が必要になる。しかし、全国の世帯を扱うと膨大なデータが必要になるため、簡易SAMで地域間交易が表現できるような理論構築が必要になることがわかった。次年度の課題としたい。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 宮城, 石川, 由利, 土谷: "地域内産業連関表を用いた都道府県間産業連関表の作成"土木計画学研究・論文集. Vol.20、No.1. 87-95 (2003)
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[Publications] 石川良文, 宮城俊彦: "全国都道府県産業連関表による産業連関の構造分析"第40回日本地域学会年次大会学術発表論文集. 40. 309-314 (2003)
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[Publications] Miyagi, T: "A Simulation Model for Route Choice Behavior in Transportation Networks"WIT Press. 印刷中(in print). (2004)
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[Publications] Miyagi, T, Ishikawa, Y: "The Construction of a 47 Region-Interregional Input-Output Table, and Interregional Interdependence Analysis at Prefecture Level in Japan"The 44-th European Congress of Regional Science. 発表予定. (2004)