2005 Fiscal Year Annual Research Report
鉄筋コンクリート造建築物の性能評価型耐震設計における修復限界状態の評価法
Project/Area Number |
15560481
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
前田 匡樹 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (30262413)
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Keywords | 鉄筋コンクリート / 建築物 / 耐震設計 / 性能評価 / 限界状態 / 損傷 / 残存耐震性能 / 補修費用 |
Research Abstract |
1.RC部材の擬似動的実験による残存耐震性能評価 中低層鉄筋コンクリート造建築物の1階柱を想定したほぼ実大の柱試験体の擬似動的実験を行ない残存耐震性能の評価法について検討した。各試験体に小破から大破までの異なるレベルの損傷を生じさせ、最大応答変形と残留ひび割れ幅などの損傷レベルの関係を検討し、さらに、損傷が生じた試験体が崩壊する地震動レベルを求めて、部材の損傷レベルと残存耐震性能の関係を調べた。その結果、筆者が過去に行なった柱の静的漸増載荷実験とランダムな入力を受ける地震応答時の挙動はほぼ同様であり、過去の実験結果に基づいて提案した解析モデルが地震応答にも適用でき、残存耐震性能の評価が行なえることが明らかとなった。 2.RC骨組の地震応答解析による残存耐震性能評価 構造実験では単独の柱の残存耐震性能を評価したが、実際の建築物により近い状況を考慮し、異なる破壊性状を有する複数の部材から構成される建築物について地震応答解析を行ない検討した。破壊性状の異なる各部材を模擬した複数のバネを有する質点系の解析モデルを作成し、パラメタリックな地震応答解析を行い、損傷レベルと残存耐震性能の関係を検討した。応答解析を行った結果、層降伏型の崩壊形を示す建築物では、複数の部材で異なる破壊モードが混在する場合でも、(財)日本建築防災協会の「被災度区分判定基準」で提案されている評価法を用いることで、残存耐震性能が概ね安全側に評価できることが明らかとなり、「被災度区分判定基準」の妥当性が確認できた。 3.修復コストと残存耐震性能に基づく限界状態評価 1995年兵庫県南部地震で被災し復旧されたRC造学校校舎建物の被災度と復旧工事費用との関係について調査した。また、仙台市の公共施設の耐震診断・耐震改修の結果を分析し、改修費用と耐震性能(Is値)の関係を検討した。これらの結果に基づき、宮城県沖地震による建物被害と修復に要する費用の推定を行った。以上を整理して、RC造建築物の修復限界状態を設定する方法としてまとめた。
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Research Products
(2 results)