2003 Fiscal Year Annual Research Report
ディバイス型プレキャストコンクリート構造の耐震設計手法の確立に関する研究
Project/Area Number |
15560488
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
香取 慶一 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 助手 (50224556)
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Keywords | 建築構造 / 鉄筋コンクリート構造 / プレキャストコンクリート / 耐震設計法 / 接合部 / エネルギー消費 / 接合筋 / 摩擦 |
Research Abstract |
本年度は、下記の研究を行い、下記の成果を得た。 ・「工法および設計法が成立するための問題点の抽出」について ディバイス型プレキャストコンクリート構造に対して、建築実務者が抱く考えについて、ヒアリングを行った。あわせて、国内における既往の研究論文の調査を行った。さらに、米国カリフォルニア大学デービス校土木環境工学科との情報交換を通じて、米国における関係論文の文献調査を行った。 この結果、「ディバイス型プレキャスト構造については、関心は高いものの、既往の研究の少なさから実務設計に使いにくい」「接合部に発生するひび割れを許容することは、美観や補修補強の観点から問題がある」「震後の補修補強が困難との印象がある」「統一的な設計手法が構築できるのか疑問である」などの意見を抽出した。さらに、わが国に限らず諸外国においても、ディバイス型プレキャストコンクリート構造の耐震設計手法に関する研究は、あまり行われていないことを確認した。 ・「問題点の克服」について 必要な実験および解析を行う予定としていたが、現在、そのうちの一部の試験体について実験が終了した段階である。これは、上記で抽出できた問題点が予想以上に多岐にわたることから、その全てを満足できるような試験体数を短期間に製作できなかったためである。前述の実験実施と平行して、残りの試験体も製作を継続している。 現在までに終了した実験より、接合面上に接合筋を有しない接合部に関して、「コンクリート圧縮強度が高くなると、骨材内でのせん断破壊が生じることにより、ひび割れ発生後の接合面形状は概して滑らかになる」「普通圧縮強度コンクリートに対して良い適合性が確認されている既往のせん断力-すべり変位構成則は、高強度コンクリートに対しては適合性が劣る。よって、高強度コンクリート用の新たな構成則の構築が必要である」などの結論を得た。 上記については、関係学会の論文集に成果を投稿しており、現在査読が行われている段階である。 -以上-
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