2004 Fiscal Year Annual Research Report
地震動を受ける構造物の損傷を適切に評価できる地震動強さの指標に関する研究
Project/Area Number |
15560497
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
松村 和雄 鹿児島大学, 工学部, 教授 (50038014)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中原 浩之 鹿児島大学, 工学部, 助手 (60315398)
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Keywords | 応答スペクトル / 最大地動加速度 / 最大地動速度 / 力積 / 建物の損傷 / 強震記録 / 多層建物の応答 / 塑性率 |
Research Abstract |
大きな地震動を受けた建築物の損傷を調べるには時刻歴応答解析法が信頼度の高い方法である。この解析法で耐震設計するには地震動のレベルを設定する必要があるが、地震動は震源特性や地盤特性などにより種々の要素を含むために建築物の損傷と地震動強さの指標が対応せず、これまでは建物の特性により地震動強さの指標を変えざるを得なかった。 昨年度の研究により、パルスの面積である力積の最大値と最大加速度に固有周期を掛けた値の1/4との小さな値で定義する修正最大力積値は固有周期が0.1〜1.0(s)の範囲で、建築物の損傷との相関が高いことが得られたので、本年度も国内外の73個の強震記録を用いて、全地震動を用いた場合と震源を同じくする地震動を用いた場合とについて、詳細な解析を行った。建物モデルは1自由度系バイリニア型復元力特性を持つ場合と3質点系、5質点系、7質点系の多自由度系バイリニア型復元力特性を持つ場合について解析した結果、震源によって相関が高い場合と相関のばらつきが大きい場合が見られるものの、大局的には修正最大力積値は他の指標より相関が高く、固有周期に対するばらつきも小さいことが分かった。 次に、修正最大力積値が損傷との相関が高い理由を知るために、最大力積値のパルスおよび最大加速度を含むパルスだけが作用したときの最大応答と全地震動が作用したときの最大応答を比較して、これらのパルスで大きな応答を示すことを明らかにし、十分ではないが、相関が高い理由をある程度説明することができた。 修正最大力積値は特別の計算で求める必要があるので、実用性を高めるには、通常使われる指標との変換が必要である。そのために、固有周期の小さな範囲では地動加速度との変換式を求め、固有周期の大きな範囲では地動変位との変換式を求めた。これらは相関係数が高いので実用的には十分有効である。
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