Research Abstract |
平成17年度は,シェル中央部に点荷重を静的に加え,破壊状態に至るまで載荷を行う従来の破壊実験に加えて,実験前の健全な状態を有する完全モデルの自由振動実験を行い,シェルモデルの振動特性を把握した.その後,破壊実験により得た損傷モデルの自由振動実験を行い損傷状況と対応した振動特性を実験的に求めた.以上の一連の実験結果に基づきコンクリートシェル構造の破壊形態とこれに対応した振動特性の変化との相互関係を求めるための基礎資料を得ることが可能となった.この資料に基づき,鉄筋コンクリートシェル構造、炭素短繊維補強コンクリートシェル構造,炭素繊維シート補強によるコンクリートシェル構造及び複合炭素繊維補強コンクリートシェル構造の破壊形態と振動特性の関係を整理し,補強面の効果も含めて,シェルの破壊形態と振動特性の変動の相互作用を明らかにしていく準備が整ってきた.今年度の研究手法としては,破壊実験及び上述の自由振動実験に加えて,供試体を忠実に再現した数値モデルを構築し,シェル耐力の検証を行った.数値解析に於いては,薄肉モデルの扱いに特に注意が必要となり,シェルの板厚変動の影響を忠実に反映した数値解析を実施した.対象としたモデルの中で代表的なタイプに関しては,衝撃荷重によるコンクリートシェル構造の破壊実験を行い破壊形態の確認を行った.ここでは,衝撃荷重規模が破壊形態に及ぼす影響を確認し,静荷重による破壊形態との相違及び類似性の比較検討を加えた.なお,今年度の実験においては,板厚変動量を抑えるために,アクリル型枠による二重型枠を採用し,既往のモデルと比較して,板厚精度を向上を目指した.更に,境界部材の影響を受けにくい状態を実現するために,実験供試体において境界補助部材を廃止したことにより,数値モデルの作成において,数値モデルの構築が比較的単純な構成となり,誤差評価が判別し易い利点を生かすことができた.また,シェルの振動特性を明らかにする意図で,固有振動数と減衰定数の変動に着目し検討を行った。
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