2004 Fiscal Year Annual Research Report
演奏形態を考慮した室内音場シミュレーション手法に関する研究
Project/Area Number |
15560521
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Research Institution | Kyushu Kyoritsu University |
Principal Investigator |
古屋 浩 九州共立大学, 工学部, 教授 (00238700)
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Keywords | 音響心理実験 / コンサートホール / 音場合成 / 音響設計指標 / 空間印象 |
Research Abstract |
本研究は、より現実的な音場評価システムを研究し構築しようとするものである。また、従来から用いられている音響指標の適用限界について見極め、聴取者が演奏会で感じる主観的印象そのものに対応した合理的な評価指標について明らかにしようとするものである。 本年度は、システム調整と予備実験の実施後、構築した音場合成システムを空間音響に関する心理評価ツールとして稼働させ、1.音場の残響特性が空間印象に与える影響に関する心理評価実験、並びに2.実音場インパルス応答を用いた心理評価実験を実施し、より現実に近い音場条件における検討を進めた。また、得られた結果を既存ホールへ適用することにより、空間印象を考慮した合理的な音場評価手法について検討した。得られた知見を下記に記す。 1.残響時間をコンサートホールとしては長めの2.5秒に設定し、方向別後期音エネルギ率とListener envelopment(LEV)の関係について検討した。その結果、残響時間を中庸な値としたこれまでの実験結果と同様に、方向別後期音エネルギ率のLEVへの寄与の度合いは、側方,後方,上方の順に大きいこと、また後方および上方後期音エネルギ率の寄与の度合いは側方の7割から9割であることを明らかにした。同時に、残響時間が長くなると各方向別後期音エネルギ率の寄与の差が小さくなることを示した。 2.既存ホールの実測調査で得られたインパルス応答を基に作成した刺激音場を用い、方向別後期音エネルギ率とLEVの関係について検討した。その結果から、反射音密度並びに初期音の到来方向を限定した条件下で得られた後期音の方向分布とLEVの関係は、実音場のインパルス応答により構成した刺激音場においても成り立つことを示した。
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Research Products
(6 results)