2003 Fiscal Year Annual Research Report
都市の形がどのようにして発生するのかに関する数理的研究
Project/Area Number |
15560534
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
古山 正雄 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 教授 (60107349)
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Keywords | 最短木 / 近隣木 / 長さの推定式 / ルートNの法則 / 包含率 / 再現率 / 都市解析 |
Research Abstract |
本研究の目的は、都市の形を数理的に明らかにすることである。すなわち、英国中世都市のようなランダムな都市構造を明らかにし、その結果を用いて、現実の都市構造を再現するための実験を行う。いわば、都市解析の成果を都市設計に展開することである。 都市解析に関する研究結果は、√Nの法則に関する結果とネットワークの包含率に関する結果に大別できるが、都市設計に関する結果は、ネットワークの辺の再現率の向上ということになる。 今年度は、都市構造の中でも総延長が最短となるネットワーク、すなわち最短木の長さに関して、これまでの長さの推定式を大幅に改善することができた。主要な結果をまとめると、次のとおりである。 「最短木の下限値は、0.64√Nと推定できる」 「すべての第一近隣辺は、最短木の辺に含まれる」 「最短木の辺のうち、69%は第一近隣辺であり、22%は第二近隣辺であり、残りの9%は第三近隣辺以遠の辺で構成される」 次に包含率に関する研究は、現在も継続中であるが、中間結果をまとめると、最短木の辺の90%程度は現実の都市構造に含まれること、また現実の都市構造の辺の95%程度がドローネダイヤグラムに含まれることが判明してきた。さらにこうした理論的結果をふまえて、中世都市の再現方法の考察を行っているところである。 今年度の結果は、学術論文「地域間ネットワークにおける最短結合と近隣結合に関する理論的考察」として日本都市計画学会の都市計画論文集(No.38-3,pp.379-384,2003年10月)に発表した。また都市の形態と建築空間にかかわる造形文化的な意味に関しては、著書「対論・空間表現の現在」(角川書店、2003年、6月)を刊行した。さらに、8月には、次年度に向けての研究情報の整備として、ロンドン大學UCLのCASAにてMike Batty教授のもとでGISと都市形態に関する情報収集を行い、12月には、パリ・ラヴィレット建築大學において「Contemporary Architecture in the Modern City」(大阪大学COEプログラムInterface Humanities主催)と題した口頭発表を行い、他分野との意見交換を行った。
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