2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15560536
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Research Institution | Naruto University of Education, Collage of Education |
Principal Investigator |
金 貞均 鳴門教育大学, 学校教育学部, 助教授 (10301318)
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Keywords | ネットワーク居住 / 分散居住 / 東アジア / 儒教思想 / 家族 |
Research Abstract |
本研究は調査範囲を韓国に広げ、第一、東アジア文化圏の居住の共通性(ネットワーク居住)を明らかにすること、第二、ネットワーク居住からみた住宅と住み方の日韓比較を通して国別居住特性を解明することを目的とする。東アジア文化圏の居住の共通性を明らかにするために前年度韓国の山村地域調査に引き続いて、今年度は大都市であるソウルとその周辺地域を対象にアンケート調査を実施した。調査内容は、家族の分散居住実態(同居・非同居家族、家族意識範囲)、ネットワーク居住の実態(非同居子供・親族世帯との分散距離、援助・交流関係、今後の居住志向)、住宅と住み方(間取りと使い方、住宅の機能・役割、住み方)、隣人との関係などである。調査地域は、ソウル木洞地区(29/40部)、大学(90/100部)、公団(58/70部)と京畿道ヨンイン地区等(38/40部)である(回収率86%、調査実施期間平成17年12月27日〜1月7日)。今回の調査対象選定の特性上、中壮年層が多く、したがって、被験者の親世帯、兄弟姉妹世帯および親戚との居住関係が中心となる。 分析結果から韓国大都市部において家族の分散居住化現象が著しく、その一方で、分散居住する家族・親族間の強い絆を確認することができた。つまり血縁を中心とする広い範囲の家族意識に基づいたネットワーク居住の形成が確認された。隣人との関係においては農山村部ほど親密な関係の構築まではいたらず、居住年数や住宅類型により差が見られる。住宅類型は一戸建より集合住宅の比率が高く、集合住宅の住み替え率の高さを考えると全般的に定住要望は高くない。子育て層は周辺の教育環境、壮年層は居住環境と住宅の投資価値を考慮した住み替えを考える傾向がある。 以上、3ヵ年に渡る韓国の農山村部-中都市部-大都市部の調査を完了し、これまでの日本におけるネットワーク居住調査結果との比較を試みている。東アジア・儒教思想を共通ベースにしながら戦後様々な変革を遂げている日韓の居住特性をネットワーク居住という尺度を用いて比較し、最終報告書において居住の展望を示したい。
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Research Products
(2 results)