2004 Fiscal Year Annual Research Report
吹き放し堂に学ぶ住区密接型施設の住民自主管理システムに関する基礎的研究
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15560552
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Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
無漏田 芳信 福山大学, 工学部, 教授 (70219955)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 要 福山大学, 工学部, 助手 (10235103)
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Keywords | 吹き放し堂 / 伝統的共有空間 / 町内会 / 継承組織 / 住民認知 / 阻害要素 / 住区密接型施設 / 住民自主管理システム |
Research Abstract |
平成15年度の成果をもとに、吹き放し堂をもつ町内会を事例に伝統的共有空間の維持管理や吹き放し堂の継承に関する地域組織の対応や現状を把握し、地域生活空間における伝統的共有空間の役割・意義、および住区密接型施設の住民団体による自主的活用方法を究明し、以下の結果を得た。 (1)吹き放し堂が移管されたと住民が答えた23町内会のうち、町内会が移管を認知しているのは約4割にとどまり、堂の移管に関する認識には住民と町内会との間にズレがあることがわかった。つまり、旧住民には町内の伝統的な共有施設を維持管理するのは至極当然のことであるという認識であるが、転入者が多い町内会では新住民に堂の継承の理解を得るのが難しいという見解である。 (2)吹き放し堂が移管されていない見解の町内会でも、堂の修理などの対応は考えている町内会とまったく関与しない町内会に二分され、堂の移管が良好な事例や移管に失敗した事例より堂の行事内容や祭祀物には宗教的という認識がうかがえ、これが移管の阻害要因であることが理解できた。 (3)移管が良好な町内会では、吹き放し堂を伝統的文化・行事と位置づけ、地域づくり活動の一環として町内の伝統的な行事や町内の建物をすべて維持管理の対象とし、転入者への理解や行事参加を促す工夫をこらし、町内会で伝統的行事や共有空間を継承する体制を整えているが、移管に失敗した町内会では伝統的行事を継承していくための保存会が結成されており、堂の継承には文化財として住民認知が要点と考えられ、その周知活動や文化財指定制度への行政的支援が課題といえる。 (4)平成15年度と平成16年度に住区密接型施設を活用した環境啓発イベントを町内会に働きかけ、そのイベント実行委員会に参画したところ、吹き放し堂の継承が良好な学区町内会の方が、細分化した地域組織をまとめて新しいイベントに挑戦できる組織的な対応力が強いことなどが判明した。
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Research Products
(4 results)