2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15560559
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
土居 義岳 九州大学, 芸術工学研究院, 教授 (00227696)
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Keywords | 田園都市 / 労働者住宅 / シュレンヌ市 / 共同室 / スタン市 / プレ=サン=ジェルヴェ市 |
Research Abstract |
平成15・16年度はパリ郊外シュレンヌ市田園部市について調査分析したが,今年度は比較検討材料とするために、やはりパリ郊外のプレ=サン=ジェルヴェ市とスタン市の田園都市について、現地視察をおこない、さらにセーヌ県住宅供給公社の資料室に保管されている建設当時の施工図や、パリの現代建築資料館に所蔵されているこれら田園都市関係の図面を閲覧し、写真複写などした。さらに田園都市運動推進者であったアンリ=セリエについてのモノグラフや、プレ=サン=ジェルヴェ市史についての2005年度刊行の最新文献を入手し分析した。 プレ=サン=ジェルヴェ市については、シュレンヌ市と同様に、なん期かの工期に区分され、初期はイギリス型の低層住宅を中心とするものであったが、後期になると大量供給のために中層集合住宅が大部分を占めるものであったことが確認された。また初期には共同浴場、各戸における共同塞(salle commune)の存在など19世紀の労働者住宅の系譜に繋がるものであったが、次第にミニマムな衛生設備を整えた近代的なものが多くなったことをつきとめた。全体の配置計画も、初期のピクチャレス型から左右対称形式へと移行するなど、建設プロセスの変化が、シュレンヌ市と類似していることを解明した。 スタン市はむしろ逆で、初期は中層集合住宅が中心であったが、後期は低層のセミ=デタッチト住宅が多くなったが、これは建設工事全般が他の田園都市よりも早期であったためと判断されることを明らかにした。 全体としてはパリ周辺の田園都市は、同じセーヌ県低廉住宅公社が管轄しているのであったが、スタイルなどは多様であるが、統一的なところもあって、衛生設備などについては同じ歩みを示していることを明らかにした。
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Research Products
(2 results)