2004 Fiscal Year Annual Research Report
d^<10>電子配置の陽イオンを含むペロフスカイト型酸化物のキャリア制御
Project/Area Number |
15560583
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
単 躍進 宇都宮大学, 工学部, 助教授 (20272221)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井本 英夫 宇都宮大学, 工学部, 教授 (20168529)
手塚 慶太郎 宇都宮大学, 工学部, 助手 (00334079)
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Keywords | d^<10>電子配置の陽イオン / 秩序ペロフスカイト / 伝導キャリアの制御 / パワーファクター |
Research Abstract |
我々の研究グループは,近年最外殻電子配置が4d^<10>の陽イオンのみで構成されたペロフスカイト型酸化物Cd_3TeO_6(Cd^<2+>,Te^<+6>)への電子ドーピングを行っている。その結果,遷移金属を含まない酸化物としては最も優れた熱電性能をもつn型熱電材料が得られた。この物質が優れた熱電性能を示すのは,全ての陽イオンが4d^<10>の最外殻電子配置を持つことが要因のひとつではないかと考えられる。そこで今年度は,陽イオンがすべて4d^<10>電子配置であるCd_2InSbO_6(空間群:R-3), CdIn_2O_4(空間群:Fd-3m):,Cd_2SnO_4(空間群:Pbam)に着目,単相試料の合成,結晶構造の解析およびキャリアドーピングと電気物性の評価を行った。これらの実験を通してd^<10>電子配置を持つ酸化物の熱電性能に及ぶ影響を追及することを目的とした。 固相反応法によって,ほぼ単相のCd_2InSbO_6を合成され,単相のCdIn_2O_4,Cd_2SnO_4ともに酸素雰囲気中の本焼で得られた。またCd_2SnO_4は800℃において酸素または窒素雰囲気中のアニール処理が可能であった。ほぼ単相のCd_2InSbO_6の粉末X線パターンは六方晶として指数付けができ,空間群はR-3と推定し,Rietveld解析により,結晶構造の精密化に成功した。空気中で本焼した3種類の物質が共に電気抵抗率の温度依存性は小さかった。また,酸素雰囲気中で合成された試料に比べ,還元処理した試料の電導性が良くなることから,キャリアは酸素欠損によって生じた電子であると考えられ,酸素欠損量の違いによって電導性に差が生じたと考えられる。3種類の物質のゼーベック係数が共に負であることから,これらの物質はn型半導体であることがわかった。室温付近のパワーファクターは,3種類の物質とも10^<-5>Wm^<-1>K^<-2>オーダーであり,この値は一般の酸化物(10^<-7>オーダー)に比べて非常に大きいものであった。結晶構造や含まれる陽イオンが違うこれらの酸化物が同様な熱電性能を示すのは何らかの共通点があったためと考えられる。ここで構成陽イオンが全て4d^<10>の最外殻電子配置をもつことだけが同様な要素であった。同じな最外殻電子配置の陽イオンで構成された酸化物が,似たバンド構造になり,電気物性が同様になることが分かった。
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Research Products
(2 results)