2003 Fiscal Year Annual Research Report
ギガPa及強度を持つFe-Mn-Si基形状記憶合金の開発
Project/Area Number |
15560600
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 彰一 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (20089824)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊井 真次 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助教授 (00178055)
|
Keywords | 形状記憶合金 / Fe-Mn-Si / fcc【tautomer】hcp相変態 / 高強度合金 / 疑弾性 / 硬いbcc相 |
Research Abstract |
Fe-Mn-Si基形状記憶合金は1980年頃我々の研究室(森勉教授・佐藤彰一助教授)で発見されて以来、約20年の歳月を経て、その基礎的知見の蓄積により応用面への展望が広がり、2003年に至って初めてトンネル工事用のパイプ継ぎ手として大型構造物への応用が試みられ、実用化への道が開けた。構造用材料として研究されてきた通常の鉄合金における高強度化の歴史を見ると、Fe-Mn-Si基形状記憶合金においてもさらなる高強度化の可能性がある。本研究では、組織の微細化に着目して表題の「ギガPa及強度を持つFe-Mn-Si基形状記憶合金の開発」に主眼を置いた。具体的には以下の手法による高強度化であり、必ずしも狙って得られた結果ではないが応用面でも将来性が期待される。 1)超高速変形による高密度の<112>型転位の導入・運動によるナノスケールの微細組織の導入。 2)焼鈍による超微細組織の回復過程で一部の微細粒がfccからbccに相変態してfcc母相中に分散し高強度化に寄与することが分った。これは、形状記憶をもたらすfcc→hcp変態がfcc相のみで起こり、bcc相は変形しないことに起因する。 3)高強度化はbcc相が非常に大きな単位胞を持つことに起因し、この相はギガPa以上の応力を加えないと変形もしくは破壊しないことが電顕用薄膜試料の圧縮試験で明らかとなり、このbcc相が高強度化の要因であると結論された。 4)塑性変形を起こさないbcc結晶粒周辺のfcc結晶粒では複数のせん断系が働き、微細なhcp相が互いにブロックし合うことで形状記憶合金としての高強度化が得られ、硬いbcc相の存在がこの主たる要因となっている。 5)この様な弾塑性混合粗織ではbcc相周辺でのfcc【tautomer】hcp変態に伴う内部応力の発生とその緩和が大きな擬弾性の起因となり、応力-ひずみ曲線は顕著なヒステリシスを示すので、耐震エネルギー吸収材としての利用も考えられる。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] A.Sato: "HVEM Observation of Microstructures in Fe-Mn-Si Based Shape Memory Alloys After High Speed Deformation"Electron Microscopy : Its Role in Materials Science The Mike Meshii Symposium, 2003 TMS Annual Meeting. 183-190 (2003)
-
[Publications] 大西宏道: "0.5Tm付近で変形したFe-Mn-Si基形状記憶合金のミクロ組織と形状記憶特性"日本金属学会講演概要(2003秋季大会). 第133回. 333-333 (2003)
-
[Publications] 山口由紀子: "V,Nの添加ならびに高速変形によるe-Mn-Si基形状記憶合金の高強度化"日本金属学会講演概要(2003秋季大会). 第133回. 334-334 (2003)