2003 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ粒子析出型Cu基合金の高強度・高導電性化(最適加工熱処理技術の創出)
Project/Area Number |
15560601
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
藤居 俊之 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助教授 (40251665)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 雅治 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (50161120)
尾中 晋 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助教授 (40194576)
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Keywords | 時効析出 / 析出強化 / 分散強化 / 高導電性Cu基合金 / 加工熱処理 / ナノ粒子 / 飽和磁化 / 磁気異方性 |
Research Abstract |
析出強化合金としての可能性に加えて,磁性材料としての性質を併せ持つ,Cu-Fe-Co合金とCu-Co-Cr合金において,ナノ析出粒子の相安定性および飽和磁化と磁気異方性を詳細に調べた.Cu-Fe-Co合金においては,FeとCoの含有率を変化させると,Fe-Co粒子のfcc→bccマルテンサイト変態のしやすさが大きく変化することがわかり,粒子中の組成比がFe:Co=1:1の時にもっとも変態しやすくなることを明らかにした.また,本合金においては,冷却もしくは磁場印加によって粒子に相変態を誘発させることが可能であることから,合金の塑性変形なしに粒子の結晶構造が制御できる.Cu-Co-Cr合金の飽和磁化と磁気異方性定数は,Co-Cr粒子中のCr濃度に強く依存することがわかった.Cr濃度が高くなるほど飽和磁化と磁気異方性定数の絶対値はともに減少する.また,合金の磁性は熱処理温度によっても影響を受けることがわかった.時効温度が高くなるとCo-Cr粒子中のCr濃度がCoに対して相対的に減少することにより,磁気異方性定数の絶対値が増すことがわかった.これら,Cu-Fe-Co合金とCu-Co-Cr合金の機械的性質は未だ明らかとなっておらず,今後の課題である. 実用高強度Cu基合金の一つであるCu-Ni-Si合金の単結晶作製に成功した.平成16年度には,この合金単結晶を用いて種々の熱処理を行い,析出が予想されるNi_2Siナノ粒子の構造を明らかにすると共に,Cu母相との方位関係を調べる.結晶学が明らかとなった上で,析出粒子を含む合金の機械的性質を詳細に調べる.析出粒子サイズと合金の強化機構との関係を室温以下の引張試験により明らかにする予定である.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] T.Fujii: "Magnetic Field-Induced Martensitic Transformation of Fe-Co Particles in a Cu Matrix"Materials Transactions. 44・12. 2545-2549 (2003)
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[Publications] 田村 友和: "Co-Cr粒子を含むCu合金単結晶の磁気特性評価と電子顕微鏡観察"日本金属学会春期講演概要. 132. 453 (2003)