2004 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ粒子析出型Cu銅基合金の高強度・高導電性化(最適加工熱処理技術の創出)
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15560601
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
藤居 俊之 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助教授 (40251665)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾中 晋 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (40194576)
加藤 雅治 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (50161120)
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Keywords | 時効析出 / 結晶学的方位関係 / 不変線条件 / ナノ粒子 / 粒子形態 / 形状安定性 / 析出強化 |
Research Abstract |
本年度はCu-Ni-Si合金の多結晶および単結晶を用いて、873Kの時効によって析出する斜方晶のNi_2Si粒子の結晶学と形態を調べた。時効時間は、実用の熱処理条件を念頭に、過時効となるよう24時間とした。時効処理を終えた試料を透過電子顕微鏡観察し、析出粒子の観察を行った。析出粒子からの制限視野回折像を解析した結果、Cu母相と析出粒子との間には、 {110}_<Cu>//(001)_<Ni2Si>,<001>_<Cu>//[010]_<Ni2Si> なる結晶方位関係があることがわかった。結晶の対称性から、析出粒子には6つの結晶学的に等価なバリアントが存在する。この方位関係は、過去に報告のある方位関係の一つであり、粒子と母相間のミスフィットに起因する弾性エネルギーを小さくする面同士が選択されることで説明づけられた。析出粒子の形態は特定方向に伸びた針状であることがわかった。斜方晶の底面と立方晶の{110}面との格子対応を仮定し、不変線の考えを適用して、与えられた格子対応における不変線方向を求めたところ、母相の<558>方向となった。この方向は、実験により得られた析出粒子の成長方向と良く一致し、析出粒子の成長方向が不変線条件を満たすように決定されることが結論できた。 過時効の条件で析出するNi_2Si粒子が形状に異方性を持つことから、この粒子を含む合金にも粒子の形状異方性を反映した強度の異方性が発現する可能性が示唆される。粒子形状の異方性をうまく利用すれば、合金強度をより効率よく高める手法が見いだせる。最終年度々である平成17年度には、本合金の強度に対する粒子形状の影響を調べる予定である。
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Research Products
(3 results)