2005 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ粒子析出型銅基合金の高強度・高導電化(最適加工熱処理技術の創出)
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15560601
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
藤居 俊之 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助教授 (40251665)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾中 晋 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (40194576)
加藤 雅治 東京工業大学, 大学院総合理工学研究科, 教授 (50161120)
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Keywords | 時効析出 / 析出強化 / 降伏応力 / 高分解能電子顕微鏡観察 / 不変線 / 降伏点降下現象 |
Research Abstract |
本年度はCu-Ni-Si合金単結晶を用いて,873Kで時効した試料の組織観察及び室温における引張強度を調べた.時効によって析出する粒子は,30minから24時間の時効時間を通して,Ni_2Siであることがわかった.特に短時間時効における粒子形状は,これまでに報告のあった円盤状ではなく,不変線方向に伸びたものであることがわかった.ただし,高分解能電子顕微鏡観察の結果,粒子は(001)に扁平な形状を持つことがわかった.すなわち,粒子形状は回転楕円体が(001)面で扁平となったラス状であると結論した. 時効した単結晶試料の引張試験を室温にて行い,降伏応力,引張強度,全塑性変形量を測定した.引張試験により得られた応力-ひずみ曲線において,降伏点降下現象が見られたことから,転位による析出粒子のせん断が生じており,強化機構は析出強化が支配的であることがわかった. 873Kで時効した試料の最大降伏応力は,24時間時効で最大値を示すことがわかった.粒子形状を球と見なして粒子がせん断され得る最長の時効時間(最大降伏応力が得られる時間)を見積もったところ約6時間となった.実験結果との相違は以下のように説明できる.析出粒子形状と成長方向を勘案すると,粒子は短径断面で転位にせん断される確率が高くなり,その結果,析出強化に寄与する粒子の有効直径は球状粒子の場合に比べて小さくなる.したがって,不変線方向に伸びた形状の粒子を含む試料では,最大降伏応力を示す時効時間は,球状粒子の場合に比べて長時間側へ移動することになる.このことは,本合金において,析出粒子形状の伸長が析出強化の効果を減少させる因子となることを意味する.
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Research Products
(2 results)