2004 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ組織制御によるCu-Cr-Zr合金の電気的・機械的機能複合化の基礎研究
Project/Area Number |
15560604
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
北川 和夫 金沢大学, 自然科学研究科, 教授 (30019757)
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Keywords | 超微細結晶粒 / ECAP法 / Cu-Cr-Zr合金 / 機械的特性 / 電気的特性 / 機能複合化 / 熱的安定性 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ナノ組織の制御による、機械的特性と電気的特性の共に優れた銅合金の開発と、その特性を評価することである。 1.合金組成の異なる超微細結晶粒Cu-CrとCu-Cr-Zr合金をECAP(Equal Channel Angular Pressing)法により作製し、その後熱処理した。結果は以下のとおりである。 (1)ECAP後時効処理することで、熱的にも機械的にも安定な析出硬化型の超微細結晶粒組織が得られた。 (2)電気伝導率(導電率)、概観的強度、延性などと同時に、優れた高サイクル疲労特性を得るための時効条件が明らかになった。 (3)冷間加工後熱処理された通常のCu-Cr-Zr合金と比較して、引張りおよび高サイクル疲労特性の著しい改善が見られた。 2.異なるひずみ経路でECAP加工した微視組織の異なる超微細結晶粒Cu-0.36Cr合金について調査した。結果は以下のとおりである。 (1)均一変形量の大きい高強度の超微細結晶粒材料が得られた。 (2)引張り強さと高サイクル疲労特性に及ぼす、ひずみ経路、結晶粒の形状、集合組織の影響は小さい。 3.ECAP法により作製した超微細結晶粒Cu-Cr-Zr合金の疲労き裂伝ぱ特性について評価した。結果は以下のとおりである。 (1)疲労き裂伝ぱ挙動は試料方位に無関係であり、むしろECAP法は等方的な特性を有する均一な組織を付与する手法といえる。 以上の結果をまとめると、ECAP加工により、平均結晶粒径で200〜300nmに超微細結晶粒化したCu-Cr-Zr合金は、その後の時効処理によって熱的に安定化すること、さらに、本手法により0.2%耐力、硬さなどの静的な機械的特性をはじめ、高サイクル疲労特性、電気伝導性(導電率)の優れた、いわゆる機能複合化したCu合金が得られることを明らかにした。
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Research Products
(3 results)