2003 Fiscal Year Annual Research Report
強磁性形状記憶Fe-Pd合金におけるマルテンサイトバリアントの磁場制御と巨大歪
Project/Area Number |
15560608
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
福田 隆 大阪大学, 大学院・工学研究科, 講師 (50228912)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
掛下 知行 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90127209)
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Keywords | 形状記憶合金 / 結晶磁気異方性 / 磁気モーメント / 双晶変形 / 剪断応力 / 磁歪 / 磁化曲線 / マルテンサイト変態 |
Research Abstract |
Fe-Pd系合金は磁場により数%もの歪を制御できる材料であり、新しいアクチュエータ材料として期待できる。磁場により巨大歪を制御できるのは、磁場により双晶変形をさせることができるためである。これまでに、われわれは、Fe-31.2Pd(at.%)合金において、磁場により3%もの歪が発生できることを、示した。しかしながら、このような大きな歪は、FCTマルテンサイト状態でしか発生させることができないため、FCTマルテンサイト変態温度を上昇させることが、重要課題のひとつである。本研究においては、マルテンサイト変態温度を上昇させる方法として、まず第3元素を添加することについて検討した。Pt,Ni,Cu等の添加効果について詳細に調べた結果、FCTマルテンサイト変態開始温度を室温以上にすることに成功したが、BCTマルテンサイトと呼ばれる磁場による磁場による双晶変形を困難にするマルテンサイトも混在した。すなわち、FCT変態開始温度を上昇させる添加元素は、BCTマルテンサイト変態温度も上昇させる傾向が強いことが明らかとなった。すべての添加元素について調査したわけではないが、第三元素の添加によりFCT変態だけを上昇させることは困難であると判断し、二元系においてマルテンサイト変態開始温度をできるだけ高くなる組成の合金を調べた。その結果、Fe-30Pd(at.%)を境にして、それ以下のPd濃度の場合は、BCTが室温で混在するが、それ以上のPd濃度の場合はFCT単独のマルテンサイトとすることができることがわかった。そこで、Fe-30Pd合金の単結晶育成を試みた。その結果、この組成合金においては、液相線と固相線の温度差が大きいため、試料には偏析ができやすいことがわかった。偏析をなくすために、溶解後固相線温度直下の温度において、数日間の均一化処理を施し、室温付近にFCT変態を有する比較的均一な単結晶試料を作製することに成功した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 福田隆, 掛下知行: "鉄基強磁性形状記憶合金における磁場によるマルテンサイトバリアントの再配列と巨大歪"熱処理. 43・3. 137-142 (2003)
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[Publications] T.Sakamoto, T.Fukuda, T.Kakeshita, T.Takeuchi, K.Kishio: "Influence of magnetic field direction on rearrangement of variants in an Fe-Pd alloy"Materials Transactions. 44・12. 2495-2498 (2003)
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[Publications] T.Kakeshita, T.Fukuda, T.Terai, T.Takeuchi, K.Kishio: "Martensitic transformation in Fe-based shape memory alloys under magnetic field"J.Phys IV France. 112. 93-100 (2003)
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[Publications] T.Fukuda, T.Sakamoto, T.Terai, T.Kakeshita, K.Kishio: "Stability of B2-type structure and martensitic transformation in Ti-Ni shape memory alloys"J.Phys IV France. 112. 685-688 (2003)
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[Publications] T.Fukuda, T.Inoue, T.Kakeshita, T Takeuchi, K.Kishio: "Crystallographic orientation dependence of magnetic field-induced strain in an Fe-31.3Pd alloy"Transactions of Materials Research Society of Japan. 28・2. 249-250 (2003)
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[Publications] T.Sakamoto, T.Fukuda, T.Kakeshita, T.Takeuchi, K.Kishio: "Magnetic field-induced strain in iron-based ferromagnetic shape memory alloys"J.Appl.Phys. 93. 8647-8649 (2003)