2003 Fiscal Year Annual Research Report
固相プロセスによる熱電半導体のナノミクロ構造制御に関する研究
Project/Area Number |
15560613
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
磯田 幸宏 独立行政法人物質・材料研究機構, エコマテリアル研究センター, 主任研究員 (80354140)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠原 嘉一 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教授 (70343853)
今井 義雄 独立行政法人物質・材料研究機構, エコマテリアル研究センター, 主幹研究員 (40354138)
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Keywords | 固相プロセス / 熱電半導体 / 溝ロール圧延 / 構造制御 / 結晶粒 / ゼーベック係数 |
Research Abstract |
Bi_2Te_3系熱電半導体の結晶構造は菱面体構造をもつ層状化合物であり、その結晶対称性から熱電気的輸送現象に大きな異方性を示し、c軸に垂直方向は平行な方向より熱電性能指数が大きい特徴を持つ。しかし、c面に非常に脆いへき開性をもつために塑性変形能が低く、圧延加工などが非常に難しい材料である。本研究ではBi_2Te_3系熱電半導体を固相プロセスよるナノミクロ構造制御により結晶粒径の微細化および結晶方向の制御を行い、結晶粒の低次元構造化を目的とした。Bi_2Te_3系熱電半導体単体での塑性加工は非常に難しいのでBi_2Te_3溶製材または粉末を金属シース缶に封入し、溝ロールによる圧延加工を施した。金属シース缶として銅及びアルミニュウムを、また出発試料はp型の無添加Bi_2Te_3溶製材とその粉末を用いた。室温において加工した結果、90%以上の断面減少率の長尺ロットを得ることができ、長尺ロットにおける理論密度に対する比は95%以上であった。一方向凝固した溶製材を溝ロールによる圧延加工を施したところ、圧延加工後の長尺ロットは加工により微結晶粒化していた。XRDによる回折線は金属シース缶に使用した銅及びアルミニュウムによらず全てBi_2Te_3の回折線であり、Bi_2Te_3中への銅及びアルミニュウムの拡散は確認されなかった。また、回折パターンは粉末と同様の回折パターンを示し、加工による結晶粒方位には優先方位関係が認められない。室温におけるゼーベック係数は出発溶製材では193.8μV/Kであったが、加工後の試料は-7.8μV/Kと減少した。加工後試料を熱処理すると451Kで77.3μV/K、653Kで-150.3μV/Kと変化した。この熱処理効果は冷間プレスした試料とよく一致している。これは加工による歪みの影響であり、溝ロール加工を熱間で行うことで加工歪みを小さくできる。この製造法は現在特許出願中である。
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