2005 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ粒子分散Al合金の機械的性質とその強化機構の解明
Project/Area Number |
15560616
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
木村 久道 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (00161571)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 明久 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (10108566)
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Keywords | アルミニウム合金 / 急冷凝固 / ナノ粒子 / 非晶質相 / ガラス相 / 機械的性質 / 耐熱強度 / 強化機構 |
Research Abstract |
本年度の研究目的は、我々が見出した高強度・高耐熱・高耐摩耗特性を持つ準結晶粒子分散Al-Fe-Cr-Ti系合金に、微量の添加元素を加えた液体急冷Al-Fe-Cr-Ti-M(M:遷移金属)合金を作製し、準結晶粒子のナノ化を図ると共に、これらの機械的性質を調べ、その強化機構の解明を行うことである。 本年度得られた研究成果を下記に示す。 (1)準結晶分散Al-Fe-Cr-Ti系合金に対し、過冷却状態を安定化させるCoを添加し、準結晶形成を支配するFe, Cr量を最適化することで、より微細な準結晶粒子分散組織が得られることを明らかにした。 (2)本開発準結晶粒子分散Al-Fe-Cr-Ti-Co合金は、300℃で360MPa以上、400℃で200MPa以上の引張強度を達成すると共に、90GPa以上のヤング率を示すことを明らかにした。 (3)本開発準結晶粒子分散Al-Fe-Cr-Ti-Co合金は、300℃×200時間保持後でも構造、機械的特性の変化は無く優れた耐熱性を示すことを明らかにした。 (4)本開発準結晶粒子分散Al-Fe-Cr-Ti-Co合金は、400℃にて圧縮塑性加工が可能であることを明らかにした。 (5)降伏強度に対する分散強化の機構として、Orowan、Martin、Ansell-LenelおよびAnsellの理論がある。そこでこれらの4つの理論に、これまでに得られたナノ粒子分散Al合金のデータを適用して解析した所、Martin理論で強化機構を説明できる可能性があることが示唆された。これに関しては、これまでに得られているナノ粒子分散Al合金の透過電子顕微鏡観察を詳細に行うなどして、多くの組織と機械的性質に関するデータを増やし、ナノ粒子分散Al合金の強化機構を明らかにしていくつもりである。 上述した研究成果の一部は、特許申請(特願2005-92072)を行うと共に、粉末冶金の国際会議PM20006(韓国、Sep.24-29、題目:Mechanical Properties and Microstructure of Aluminum Alloys with Dispersed Nanoscale Quasicrystalline Particles)で発表を行う予定になっている。
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Research Products
(4 results)