2004 Fiscal Year Annual Research Report
マグネシウム合金表面酸化膜の成長機構とナノ構造制御に関する研究
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15560629
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
小野 幸子 工学院大学, 工学部, 教授 (90052886)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿相 英孝 工学院大学, 工学部, 講師 (80338277)
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Keywords | マグネシウム / 酸化皮膜 / ナノ構造 / 成長メカニズム / 環境負荷低減 / 耐食性 / 長寿命化 / 超軽量合金 |
Research Abstract |
アルミン酸イオンを含むアルカリ溶液中でのマグネシウムのアノード酸化皮膜の構造と不動態性を電気化学測定と電界放出走査型電子顕微鏡を含む種々の方法で評価した。ナトリウムイオン濃度を一定に保った場合,アルミン酸イオン濃度が増加すると5V付近の電流ピークが効果的に抑制され,絶縁破壊電圧が上昇した。これは表面の不動態性と酸化膜の保護性が向上した結果である。皮膜中へ封入されるアルミニウム量は電解液に添加したアルミン酸イオン量の対数に比例して直線的に増加した。しかしながら,アルミン酸イオンの量に関わらず,塩水噴霧試験による耐食性は5Vで非常に高い電流密度で生成した厚い皮膜が最も高かった。さらに,5Vで生成した皮膜はいずれの電解液においてもアノード酸化ポーラスアルミナのKellerモデルに類似の中央に20nmの孔を持ち直径200nm程度の垂直な六角柱シリンダー状セル構造を持つことがはじめて明らかになった。 また,加工性に優れた比重1.39の超軽量合金として開発されたMgLiY合金のアノード酸化挙動と,成長する皮膜の組成と構造に与える合金成分の影響について基礎的に検討した。40V付近で生成したバリヤー型皮膜の断面TEM観察とGDOESによる元素の深さ方向分析から,皮膜はほぼLi酸化物から成る外層と内層,それに中間層の3層構造を持ち,外層と内層の間にY粒子が分散していた。バリヤー型皮膜の厚さは合金組成により変化し,純MgのAnodizing ratioは1.9nm/Vで,アルミニウムの1.4nm/Vより厚い。AZ合金の場合は2.75nm/Vである。MgLiY合金では皮膜厚さ170nmで,対電圧比は4.5nm/Vと著しく厚い。皮膜厚さの対電圧比は電場保持性に関連する。LiとYは皮膜中に高濃度で濃縮するが,5V程度か絶縁破壊電圧で電解することによりポーラス皮膜を生成すると,両元素は皮膜中にほとんど検出されなくなる。耐食性については,リン酸塩水溶液中での電解とケイ酸塩中での封孔処理の併用により,従来この超軽量合金で達成が困難であった24時間以上の高い耐食性を付与することに成功した。
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Research Products
(16 results)