2003 Fiscal Year Annual Research Report
生体・口腔環境の過酷腐食性と適合高耐食合金の溶出・環境劣化の評価に関する研究
Project/Area Number |
15560632
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
酒井 潤一 早稲田大学, 理工学部, 教授 (90329095)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 雄一 横浜国立大学, 留学生センター, 教授 (40334627)
齋藤 良行 早稲田大学, 理工学部, 教授 (60277829)
中江 秀雄 早稲田大学, 理工学部, 教授 (40164123)
横山 賢一 徳島大学, 歯学部, 助手 (80308262)
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Keywords | 生体・福祉材料 / 疲労 / 歯科理工学 |
Research Abstract |
TiおよびTi合金を対象に生体環境、口腔環境を意図して耐食性評価、生体適合性評価、環境破壊性評価などを実施した。主たる結果は、1.模擬口腔環境中における耐食性、水素吸収特性、水素脆化特性を評価した。α-、β-Ti合金で水素吸収特性は異なる。また、水素のトラップサイトが合金相によって異なることが昇温水素分析から明らかとなった。さらに、水素吸収条件により、水素放出温度が変化した。 2.口腔環境で遭遇するフッ素の腐食および割れへの影響をNaF、APF溶液中で明らかにした。この種の環境で、現用のTi合金は十分な耐食性を有していないことが明らかとなった。特に、酸性溶液では局部腐食を生じる傾向にある。腐食の結果として水素吸収が起こり、機械的特性を損ねた。 3.生体組織との整合性を向上させる目的でTi表面への多孔質な陽極酸化皮膜の生成とその制得を試みた。酸性溶液中で300V以上の電圧をかけることで多孔質な皮膜の形成が可能である。溶液中にPやCaを共存させることにより、これらが皮膜中に取り込まれ、生体組織との整合性が高められる可能性がある。生体適合性をさらに向上させるための酸化物の構造制御が今後の課題である。 4.応力下での材料の信頼性を確認すべく、生体液を模擬した食塩水中でフレッティング腐食疲労試験を実施した。破壊はフレティングパッドの端部を基点に発生することが明らかになった。亀裂は単一であり、その単一亀裂が、発生、進展、破断へとの過程をたどった。 5.微小腐食検出手法としてのQCMに着目し、nmレベルでの侵食の検出が可能であることを明らかにした。
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