2003 Fiscal Year Annual Research Report
珪酸塩融体の熱伝導率の背面レーザフラッシュ法による計測とデータベース構築
Project/Area Number |
15560640
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
太田 弘道 茨城大学, 工学部, 助教授 (70168946)
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Keywords | 熱伝率導 / 高温融体 / 熱拡散率 / 珪酸塩融体 / シリケート / スラグ / レーザフラッシュ法 / 融体構造 |
Research Abstract |
金属の製錬工程では環境負荷低減の要請が強まっており、その設計にはシステムの熱移動現象の把握が必須である。またこれらの要請に対応し製錬プロセスにおける高温領域の珪酸塩融体の熱的性質の測定が行われている。しかし、精錬プロセスの熱移動における最も重要な物性値の一つである熱伝導率はいまだに測定者や測定方法により測定値が大きく異なり、信頼される値が得られていない。本研究では製錬プロセスで重要な役割をはたす高温領域の熱伝導率の珪酸塩融体の測定法を確立することを主要な目的とする。 実験方法は以下の通りである。珪酸塩融体を金属のつるぼに充填し、目的温度までアルゴン雰囲気下で昇温する。温度が安定した後、るつぼ下面をパルスレーザ光により瞬間的に加熱する。加熱後、るつぼに加えられたエネルギーは試料融体中へと伝播していく。これはるつぼ下面の温度降下として検出することができる。この加熱方法によれば試料がレーザ光に対して透明であっても、るつぼが受光面となり、珪酸塩融体の熱拡散率を容易に測定することが可能である。この測定を実施し、データを蓄積解析した。 また本測定法ではレーザ照射後のごく短時間領域で測定を完了するため熱放射の影響を抑える事ができることが予想されるが、具体的な熱放射によるエネルギー移動量については、まだ充分な検討が行われていない。この点を踏まえて、熱放射を考慮した熱移動方程式を数値計算を援用し推定し測定値にどの程度の誤差を生ずるかを見積もる計算を開始した。 また、この測定法では金属板と試料融体間には熱抵抗がないとして解析を行っているが、このような界面や微小領域の熱物性は、まだ予測が困難である。そこで、試料/金属界面における伝熱挙動について検討を行うため、予備実験として固体の試料を用い我々の開発した微小領域の伝熱挙動解析装置を用いて検討を行った。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] H.Ohta H.Shibata, Y.Waseda: "Thermal Conductivity and Diffusivity of Molten Slags by Laser Flash Method"Metallurgical and Materials Transactions A. 36A(発表予定). (2006)
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[Publications] 太田弘道, 柴田浩幸, 早稲田嘉夫 (分担執筆:八田一郎 監修・アルバック理工 編集): "融体材料の熱拡散率測定(最新熱測定-基礎から応用まで-)"アグネ技術センター. 11(392) (2003)