2003 Fiscal Year Annual Research Report
テルミット反応を利用した金属酸化物廃棄物からの金属回収
Project/Area Number |
15560642
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
奥村 圭二 名古屋工業大学, 工学研究科, 助教授 (50204144)
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Keywords | 金属酸化物 / 廃棄物 / テルミット反応 / 還元 / アルミニウムドロス / マグネシア |
Research Abstract |
熱天秤を用いて、マグネシアの還元により生成する金属マグネシウムの蒸発による試料の質量減少を連続的に測定した。グラファイト製るつぼ(内径5.8mm、高さ5.5mm)中にアルミニウム粒子(粒径75〜150μm、純度99.99%)とマグネシア粒子(平均粒径0.4μm、純度99.99%)をMgO:Alのモル比が3:2となるように混合し、CIP(Cold Isostatic Press)により直径5mmの円柱状に加圧成形したペレットを所定量装入し、アルゴンガス雰囲気下で還元した。ガス流量は150Ncm^3/minとした。ペレットの昇温速度は1273Kまでは200K/min、1873Kまでは30〜100K/minと変化させた。成形圧力は0、10、50、150MPaとした。なお、一部の実験は、スピネル粉末(18.74μm以下、純度91.2%)を用いた。以下に示す反応によりペレットは減量する。 4MgO(s)+2Al(l)=3Mg(g)+MgO・Al_2O_3(s) (1) 3MgO・Al_2O_3(s)+2Al(l)=3Mg(g)+4Al_2O_3(s) (2) 質量減少曲線には3つの領域が存在することがわかった。実験初期(I)は試料やるつぼに含まれる水や吸着ガスの脱離などにより試料質量が見かけ上減少する。実験中期(II)は質量減少速度が大きく、(1)式の還元反応によりマグネシウム蒸気およびスピネルが生成する。実験後期(III)は質量減少速度が遅く、(2)式の還元反応が進行していると考えられる。このことを確認するために、マグネシアとスピネルの還元率を比較した。スピネルのほうがマグネシアより安定であるため、還元率が小さくなった。還元率αは還元によって生成したマグネシウムの質量(δW)と還元前の試料中のマグネシウムの質量(W_0)の比(δW/W_0)と定義した。還元開始温度(T_I)は昇温速度が遅いほど低いことがわかった。また、α≒0.75まで(1)式の還元反応が進行し、(1)式の反応が終了する温度(T_II)も昇温速度が遅いほど低くなった。以上より、マグネシアのアルミニウム熱還元では、α<0.75までは(1)式の反応、0.75<αでは(2)式の反応が起こることが明らかとなった。
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