2003 Fiscal Year Annual Research Report
超臨界二酸化炭素を利用した有機微粒子の工業的製造に関する研究
Project/Area Number |
15560654
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
滝嶌 繁樹 広島大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (10188120)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 善之 東北大学, 超臨界溶媒工学研究センター, 助教授 (50243598)
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Keywords | 超臨界流体 / ポリマー / 微粒子 / スプレー / 状態方程式 |
Research Abstract |
溶融状態のポリマーや有機溶媒中に超臨界二酸化炭素を溶解させ、これをノズルから噴射させることによって有機微粒子を製造することを目的に、研究を行った。まず、実験装置を製作した。本装置は有機物中に超臨界二酸化炭素を飽和溶解させる部分と、圧力を一定に保ちながらノズルを通して噴射する部分から構成されており、最高使用温度は300℃,最高使用圧力は30MPaである。飽和溶解時の温度とノズルの温度は独立に設定・制御でき、ノズルの径と長さを自在に変更できる。この装置を用いてpoly(ethylene glycol)の微粒化実験を行い、粒子径に対する操作条件の影響を検討した。その結果、噴射直前の温度と圧力が粒径に大きく依存し、これらと有機物の融点の関係で粒径を制御できることが判明した。 また、微粒化過程をシミュレーションするためのモデルの開発を行った。本シミュレーションモデルでは経時変化する温度と圧力に対応する超臨界二酸化炭素+有機物系の物性を正確に把握することが重要であるため、混合系の溶解度,密度,自由エネルギーを推算するための状態方程式を開発すると共に、拡散係数,粘度,界面張力などの推算法を検討した。結果として界面張力以外は新たなモデルあるいは既存のモデルで定量的に表現できたが、界面張力は実験値が少ないためにモデルの検討が十分に行えなかった。 この方法は、超臨界流体中に有機物を溶解させて噴射するRESS(Rapid Expansion of Supercritical Solutions)法と比較して、超臨界流体中に溶解しないポリマーなどの高分子量物質や極性物質にも適用できるという利点があり、近い将来において工業的に重要な微粒子製造プロセスになり得ると考えられ、今後は多くの有機物に対して操作条件と粒径の関係を検討する予定である。
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