2003 Fiscal Year Annual Research Report
極高表面積メソ細孔性酸化物の特異な原子価・配位状態を利用した高性能触媒の開発
Project/Area Number |
15560666
|
Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
吉武 英昭 横浜国立大学, 大学院・環境情報研究院, 助教授 (20230716)
|
Keywords | メソポーラスチタニア / モリブデン触媒 / XANES / 共沈法 |
Research Abstract |
1級アミンを型剤にしたメソ細孔性TiO_2を合成し、メソ構造をX線回折、窒素吸着装置により解析した。酸素下での熱安定性を示差熱計・熱重量計で検討したところ、300℃では目立ったメソ構造の破壊が見られず、1000m^2g^<-1>以上の極高表面積を保ったままであった。このため、この酸化物を固体触媒あるいは、固体触媒担体として用いることが十分可能であることが明らかになった。 担体酸化物の原料であるTi(O^iPr)_4を加水分解する時にMo(OC_2H_5)_5を共存させ、触媒活性種のアルコキシド共存させ、共縮合させ、乾燥、酸化分解を行う方法(直接導入法)および合成したメソ細孔性チタニアを触媒活性種のアルコキシドの溶液に含浸、乾燥、熱分解を行う方法(含浸法)の2法によりメソ細孔性チタニア担持モリブデン触媒を調製した。含浸法の方が直接導入法よりも大きな表面積と高いメソ構造規則性をもつ触媒を与えた。Mo重量として担持量2.7wt%の触媒ではそれぞれ840m^2g^<-1>,761m^2g^<-1>であったが、7.0wt%では、前者が851m^2g^<-1>とほとんど変わらないのに対し後者が597m^2g^<-1>であった。X線吸収端微細構造分光法により、これら触媒のMoK端スペクトルを測定した。吸収端前のピークは1s-4d遷移に起因するが、この強度は中心対対称性の崩れの程度を反映する。このピーク強度は両触媒ともMoO_3(正八面体配位)とKMoO_4(正四面体配位)の中間になったが、含浸触媒の方が大きかった。したがって、含浸触媒の方がMoは正四面体配位に近いか、割合が多い。脱気を行い水分のない状態で測定したところ、直接合成触媒の方が1s-4dピーク強度の増大が著しかった。この変化はMoが単量体で存在していると小さいと考えられるので、含浸法のほうが分散度が大きいということが示唆される。
|